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電弱理論と強い力の統一を果たす大統一理論(GUT)は非常に魅力的な枠組みであり、これまでにSU(5)やSO(10)、Flipped SU(5) GUTといった様々なモデルが提唱されてきた。GUTの検証方法として代表的なものに核子崩壊の観測がある。その各種崩壊モードの寿命の多くはSuper-Kamiokandeを始めとした実験により強い制限が与えられており、Hyper-KamiokandeやDUNE、JUNOといった将来実験での観測が期待されている。一方崩壊率の理論的な予言についても、核子崩壊行列要素の格子計算の発展により$\mathcal{O}(10~\%)$の精度で予言が可能となった。これらの現状を受け本研究では、有効理論を用いて次元6の演算子から従う二体崩壊モードの崩壊率、より正確には異なるモードの崩壊率の比からどのような大統一模型の構造を明らかにできるかを系統的に調査した。結果として、以下の2点が得られた。
1. $\Gamma(p\to e^+\eta)/\Gamma(p\to e^+\pi^0)$ あるいは $\Gamma(n\to \bar{\nu}\eta)/\Gamma(p\to \bar{\nu}\pi^+)$の値と、大統一スケールの媒介粒子、あるいは(超対称GUTにおけるdimension-five nucleon decayの場合)超対称粒子の交換についての対応関係を明らかにした。
2. 特に大統一ゲージボソンの交換に焦点を当て、そのフレーバーユニバーサリティからその他の崩壊率の比について、その特徴を調べた。次元6の核子崩壊演算子を導くゲージボソンは2種類存在するが、それぞれの交換による崩壊率の比の特徴を明らかにした。
これらのジェネリックな結果を上記のベンチマーク模型に適用しつつ発表を行う。