Speaker
Dr
Erika Kawakami
(RIKEN)
Description
スケーラブルな量子コンピュータの実現には、長いコヒーレンス時間と高い接続性を両立する量子ビットが求められる。電子は、電荷とスピンという2種類の自由度を持ち、さらに可搬性も備えることから、有望な候補である。半導体中の電子を用いた電荷量子ビットでは、コヒーレンス時間は約1マイクロ秒に限られていた[Connors et al., Nat. Commun. 13, 940 (2022)]が、固体ネオン上の浮揚電子を用いた電荷量子ビットは2022年に初めて実現され、真空中という純粋な環境により約100マイクロ秒のコヒーレンス時間が得られている[Zhouら, Nature 605, 46 (2022); Nat. Phys. 20, 116 (2024)]。さらに、スピン状態のコヒーレンス時間は1〜100秒に達する可能性が理論的に示されている[Chenら, Quantum Sci. Technol. 7, 045016 (2022)]。我々は最近、スピン実装を視野に入れ、磁場に強いNbTiN薄膜で作製した超伝導共振器を用いて、電荷量子ビットを実現した。将来的にはスピン状態を量子ビットとして実装することを目指しており、電荷状態を介したスピン間の電気的結合を活用するため、電荷状態のコヒーレンス時間も引き続き重要である。
Primary author
Dr
Erika Kawakami
(RIKEN)