Speaker
Ken Matsuno
Description
高次元時空における物理理論は4つの基本的な相互作用を統一的に議論するための有望なアイデアである。我々の観測可能な世界は実質的に4次元なので、余剰次元をコンパクト化した高次元ブラックホール解が盛んに議論されている。5次元squashed Kaluza-Kleinブラックホール解では、余剰次元のコンパクト化が無限遠で起こり、実効的に4次元時空が得られるため、この解を現実的な高次元ブラックホールモデルの1つとみなすことができる。そこで、squashed Kaluza-Kleinブラックホールからのホーキング放射をトンネル効果に基づいて議論した。地平線近傍での次元縮約によって得られる2次元有効計量を背景時空として用いることで、予想されるホーキング温度と放射に伴う反作用の効果の両方を導出した[1]。さらに、このブラックホールからの荷電スカラー粒子のホーキング放射を、測定可能な最小の長さを予言する一般化不確定性原理に基づく現象論的量子重力効果を含めて議論した[2]。
[1] K. Matsuno and K. Umetsu, Phys. Rev. D 83, 064016 (2011).
[2] K. Matsuno, Class. Quant. Grav. 39, no.7, 075022 (2022).
Primary author
Ken Matsuno