Speaker
Yoshiteru Yonetani
(量子科学技術研究開発機構)
Description
分子の電子励起によって生じたエキシトンのフローを利用して量子演算回路を実現できるだろうか。本研究では、量子動力学計算によりエキシトンの流れを利用した量子演算ゲートの可能性について検証した[Yonetani, Chem.Phys. 570, 111860 (2023)]。ハミルトニアンはNOTとHadamardゲートのシステム項と調和振動子の環境項で構成し、スピンーボソン模型で表した。経路積分の半古典解法により時間発展を求め、量子演算フィデリティーを評価した。環境ノイズの中で高いフィデリティーを得るには、大きなエキシトンカップリングが必要となる。例えば、0.98以上のフィデリティーを実現するには、1000cm-1を超えるエキシトンカップリングが必要なことが分かった。温度と再配向エネルギーは小さい方が望ましいが、少し高くても許容される。導かれた結果は、具体的な分子設計を進める上で重要な知見となる。
Primary author
Yoshiteru Yonetani
(量子科学技術研究開発機構)