Speaker
Nanami Abe
(The University of Osaka)
Description
本発表では,量子ビットを局所的なプローブとして用い,準周期系の物理的特性を読み出す理論的枠組みを提案した論文 [PhysRevA.103.023330 (2021)] のレビューを行う.同論文では,代表的な準周期系である Aubry-André-Harper (AAH) モデルに1つまたは2つの量子ビットを結合させ,その開放系ダイナミクスを解析している.鍵となるアイデアは,AAHモデルの内部状態を量子ビットのデコヒーレンスに反映させることである.この位相緩和ダイナミクスを観測することで,AAHモデルが持つ局在−非局在転移や系の輸送特性といった情報を読み出せることを理論的に示した.本ポスター発表では,この先駆的な手法を紹介するとともに,プローブとなる量子ビット(開放系)のダイナミクスがどのようにして準周期系の難解な性質を明らかにするのか,その物理的な関係性について議論を深めたい.
Primary author
Nanami Abe
(The University of Osaka)