Speaker
Hayato Arai
(The University of Tokyo)
Description
物理的に実装可能な量子測定のクラスを明らかにすることは基礎的にも応用的にも重要な問題である。POVM(正値演算子値測度)測定は間接測定によって実装可能であり、ヒルベルト空間の数学的構造によって決まる最大のクラスである。しかし、ヒルベルト空間の構造ではなく、確率論的整合性を第一原理として仮定すれば、一般確率論の枠組みとして、非正値演算子値測度(N-POVM)測定を扱うことができる。N-POVM測定は量子論では記述できないため、物理的に実装可能であるとは考えられていなかった。本論文では、量子論において対象となる状態の定義域を限定した場合に、POVM測定と事後選択によってN-POVM測定を実装する構成的な方法を与える。また逆に、事後選択されたPOVM測定は、限定された定義域ではN-POVM測定とみなされることを示す。これらの結果は、一般確率論におけるN-POVM測定と事後選択との間に新しい関係を与え、一般確率論の物理的意味に新たな視点を与える。
Primary author
Hayato Arai
(The University of Tokyo)