Speaker
Shunuske Tomioka
(Hokkaido University)
Description
ペロン・フロベニウスの定理(1907)は,すべての成分が正の行列の最大固有値が縮退していないことを保証する定理である.この定理はファリスによって,ヒルベルト空間上の(ある条件をみたす)有界正自己共役作用素の場合にも拡張されており,下に有界な自己共役作用素の基底状態の一意性を示すなどの応用がある(1972).拡張された定理において,「行列のすべての成分が正」に相当する条件は,自己双対錐,正値保存性,正値改良性,エルゴード性などの概念で記述される.
本発表では,ペロン・フロべニウスの定理の逆問題「最大固有値が縮退していない有界正自己共役作用素は,ある自己双対錐に関して正値保存性,正値改良性,エルゴード性などが言えるか」について発表者が得た結果を説明する.また作用素を摂動させたときにこれらの性質が保たれるかについても説明する.
本発表は,https://arxiv.org/abs/2405.11136 に基づく.
Primary author
Shunuske Tomioka
(Hokkaido University)