Speaker
裕大 上永
(Kyushu University)
Description
環境と相互作用する量子系の散逸的な振る舞いは、開放量子系の本質的な特徴である。その理論モデルの一つに、量子調和振動子からなる系と、その集合で構成される環境が相互作用するCaldeira–Leggettモデル[1]があり、そのダイナミクスは量子ランジュバン方程式(QLE)によって記述される。QLEの解析では通常、系が無限時間にわたり環境と結合していると仮定されるため、時間依存結合を持つQLEの厳密解は未解明である。本発表では、この課題に対し、有限時間相互作用をディラックのデルタ関数型の相互作用列で再現する手法[2]を用いることで、一般的な時間依存結合を持つQLEの解析解が得られることを示す。さらに、このアプローチにより可視化が可能となった環境のメモリー効果の振る舞いについて紹介し、無限時間相互作用モデルとの比較を通じて解の妥当性を検証する。
[1] A. O. Caldeira and A. J. Leggett, ”Influence of Dissipation on Quantum Tunneling in Macroscopic Systems”, Phys. Rev. Lett. 46, 211 (1981)
[2] J. P-Gomez, E. M-Martinez, “Nonperturbative method for particle detectors with continuous interaction” Phys. Rev. D 109, 045014(2024)
Primary author
裕大 上永
(Kyushu University)
Co-authors
Dr
建佑 ギャロック芳村
(University of Tokyo)
Dr
敬乃 平良
(Kyushu University)