Speaker
Takehiro Sudo
(Shibaura Institute of Technology)
Description
量子論において,測定の両立不可能性を定量的に評価する指標の一つに,Heinosaariらによって提案された同時測定不可能性次元(Incompatibility Dimension,以下ID)がある[1].これは,複数の測定が同時には実行できないことを判定するために必要な状態の“個数”を表す量とみなすことができる.[1]では,ノイジーなPauli $X,Z$測定における同時測定不可能性に着目し,IDが非連続的に変化するノイズ閾値の存在を示しているが,その具体的な値は未だ定まっていない.IDの定義自体は自然に思えるものの,その閾値を決定づける状態集合の構造は直感的に捉えにくく,量子ビットに限った場合でさえ,問題は単純ではないことが示唆されている.
本研究の目的は,このノイズ閾値を解析的に導出するとともに,同時測定不可能性に対する直感的理解を深めることにある.そのために我々は,問題をより一般的な枠組みである一般確率論(General Probabilistic Theories,以下GPTs)へと拡張する.GPTsは,量子論や古典論を包含する一般的な理論体系であり,本問題をこの枠組みの下で定式化することで,同時測定不可能性の本質的理解に迫りつつ,GPTsにおけるノイズ閾値の導出を目指す.具体的には,GPTsにおける測定に対するIDの概念の導入,二次元正多角形モデルにおける(ノイジーな)$X,Z$測定の拡張,および古典・量子・正四角形モデルを中心とした各種モデルにおけるノイズ閾値の導出を行う.
[1] T. Heinosaari, T. Miyadera, and R. Takakura, Phys. Rev. A $\textbf{104}$, 032228 (2021).
Primary author
Takehiro Sudo
(Shibaura Institute of Technology)
Co-authors
Gen Kimura
(Shibaura Institute of Technology)
Kaito Nakatsuka
(Osaka University)
Kiyotaka Yoshimura
(Shibaura Institute of Technology)
Ryo Takakura
(Osaka University)