Speaker
Haruki Yamashita
(芝浦工業大学)
Description
微視的な世界を記述する量子力学においては,一般に複数の物理量が同時に確定的な値を取ることができない.この性質は,不確定性原理として知られている.不確定性関係は,この原理を定量的に表現したものであり,準備型不確定性関係としては,任意の物理量$A,B$に対するRobertson型の不確定性関係,およびそれをさらに一般化したSchrödinger型の関係が有名である.
本研究[1]では,Robertson型で用いられる交換子の期待値に基づく不確定性関係の改善を試みた.その結果,驚くべきことに,最適な係数は従来の$\frac{1}{4}$ではなく,量子状態の最小および最大固有値によって決まることがわかり,Robertson型を一般化するタイトな不確定性関係を導くことができた.この新しい不確定性関係は,状態が混合になるほど強い制約となり,従来のRobertson型では見過ごされていた量子(非可換性)由来の不確定性のトレードオフを捉えることができる.さらに,この関係はSchrödinger型の不確定性関係への直接的な一般化も可能である.加えて,測定型不確定性関係であるArthurs-Goodmanの不等式,および小澤の不等式に対する定量的側面での一般化も得られる.
[1] G. Kimura, A. Mayumi and H. Yamashita, arXiv:2505.19861[quant-ph] (2025).
Primary author
Haruki Yamashita
(芝浦工業大学)
Co-authors
Aina Mayumi
(Shibaura Institute of Technology)
Gen Kimura
(Shibaura Institute of Technology)