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Sep 8 – 12, 2025
京都大学基礎物理学研究所
Asia/Tokyo timezone

Clifford回路による負符号問題解消の計算複雑性

Sep 9, 2025, 4:00 PM
2h
ポスター ポスター

Speaker

Jun Takahashi (ISSP, University of Tokyo)

Description

一部の量子多体系の熱平衡状態は量子モンテカルロ法と総称される手法群によって古典的なサンプリング問題に帰着でき、多くの場合効率的に古典シミュレート可能であることが知られている。しかし、一般には負の確率でのサンプリングに対応する「負符号問題」が発生し、そのような量子多体系に関する研究には量子モンテカルロ法は適さない。この負符号問題は量子多体系の数値研究を行うにあたっての実践的な障壁であるだけでなく、多体系における量子/古典を理論的に区別する本質的な指標であると示唆する計算複雑性の分類定理も存在する[1]が、どのような場合に負符号問題が解消できるのかに関しては多くの点が未解決である[2,3,4]。

本研究では、Clifford回路を用いて負符号問題を解消することを考察する。すなわちClifford回路として表現可能なユニタリ変換で、与えられた量子系のハミルトニアンを非対角が全て非正になる(Stoquasticと呼ばれる)ように基底変換を施すことを考える。Clifford回路は古典計算可能な回路族である一方でエンタングルメントも生み出せ、グローバルな基底変換を考える際に都合が良い。我々は与えられたハミルトニアンがClifford回路を用いてstoquasticに変換可能かを問う問題がNP困難であることを証明した[5]。
本発表では、背景と共にNP困難性の結果と、Clifford回路を用いて非自明に負符号問題を解消できる具体例を説明する。

[1] T. Cubitt and A. Montanaro, SIAM J. Comput. 45, 268 (2016).
[2] M. Marvian, D. Lidar, and I. Hen, Nat. Commun. 10, 1571 (2019).
[3] J. Klassen, M. Marvian, S. Piddock, M. Ioannou, I. Hen,
and B. M. Terhal, SIAM J. Comput. 49, 1332 (2020).
[4] I. Hen, Phys. Rev. Research 3, 023080 (2021).
[5] J. Takahashi and M. Marvian, in preparation.

Primary authors

Jun Takahashi (ISSP, University of Tokyo) Prof. Milad Marvian (CQuIC, University of New Mexico)

Presentation materials

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