Speaker
Dr
Hiroki Takeda
(Kyoto University)
Description
重力の量子的性質は、基礎物理学における未解決問題であり、いまだ実験的な検証がなされていない。重力波は、仮説上の重力の量子的キャリアである重力子を検出するための有望な手段を提供する。しかし、重力子と古典的な重力波とを区別するには、量子コヒーレンスの保持が必要であり、それは宇宙環境との相互作用によって生じるデコヒーレンスによって失われる可能性がある。スカラー場が重力に共形結合している環境モデルを用いて、縮約密度行列を導出しデコヒーレンス汎関数を評価することで、重力波が量子状態を保持するかどうかを調べる。その結果、重力波の量子デコヒーレンスは低周波数および高再加熱温度でより強くなることが分かった。そして、デコヒーレンスが無視できる振幅の閾値をモデル非依存的に特定し、重力の量子的性質やインフレーション機構を直接検証する上での基本的限界を提示する。本ポスターでは、重力の量子から古典への遷移について報告する。