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Sep 8 – 12, 2025
京都大学基礎物理学研究所
Asia/Tokyo timezone

熱力学的トレードオフ関係における量子効果・情報量

Sep 10, 2025, 4:35 PM
35m
湯川記念館 パナソニック国際交流ホール (京都大学基礎物理学研究所)

湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

京都大学基礎物理学研究所

京都市左京区北白川追分町
Invited talk Invited talk

Speaker

Ken Funo (University of Tokyo)

Description

近年の実験技術の向上により、一分子・一原子レベルでの精密な測定・操作が可能になった。1990年代以降、このような熱ゆらぎや量子効果が無視できないようなミクロな領域へと熱力学が拡張され、ゆらぎの熱力学や量子熱力学と呼ばれる分野が進展している。さらに、情報熱力学と呼ばれる分野では、測定やフィードバックなどの情報処理過程における情報量と熱力学量の関係が明らかになった。熱力学第二法則が与えるエネルギーコストの最小値を達成するためには操作を無限にゆっくりと行う必要がある一方、実用上は素早い操作が必要であり、有限時間における熱力学的最適化の研究がここ10年程度で活発に行われている。特に、エネルギーコストと操作速度やカレントの精度の間のトレードオフ関係が、熱力学的速度限界や熱力学的不確定性関係などによって定式化された。

本発表では、熱力学の法則が量子効果によってどのように修正されるのか、また量子計算の分野などで見られる量子優位性が熱力学でも成立するのか、という問いに対して考察する。より具体的には、量子重ね合わせをうまく活用すると、エネルギーコストを下げつつ高速操作が可能になることを、量子効果を取り入れて導出した熱力学的トレードオフ関係の観点から議論する。さらに、量子開放系の対称性に基づいた理論的枠組を導入することで、どの程度まで量子効果による優位性が得られうるのかを与える。得られた理論を熱機関へと応用すると、(古典力学的な熱機関では不可能とされている)ゼロでない仕事率を発揮しつつ、理想効率であるカルノー効率に近い効率で動作する量子熱機関が量子効果によって可能となることを説明する。

また時間が許せば、フィードバック冷却における冷却効率を与える情報熱力学的な第二法則やトレードオフ関係に関する結果も紹介する。

Primary author

Ken Funo (University of Tokyo)

Presentation materials