Speaker
Izumi Tsutsui
(Nihon University & KEK)
Description
黒体輻射の古典的記述の破綻に端を発した量子論は、その後の行列力学・波動力学の定式化から百年を経た今日においても、その根幹たる量子的自然像とは何かについて一致した見解を得るには至っていない。本講演では、80年代半ばから素粒子論・場の量子論の研究に携わった1個人としての立場から量子力学の基礎の研究の流れを振り返り、今後の研究の方向性について感想を述べたい。場の大域的性質と量子力学的対称性の破れ(量子異常)、ゲージ理論の非同値量子化といった量子論の構成に関わる問題や、量子もつれ状態の内包する非古典的な様相や不確定性関係の確率論的な視点、さらに量子物理量としての「弱値」の解釈等に触れつつ、古典物理との連続性と断絶性の両面を持つ量子物理の将来像について、独自の偏見に基づいて展望する。
Primary author
Izumi Tsutsui
(Nihon University & KEK)