Speaker
Yasuyuki Okumura
(The University of Tokyo)
Description
次世代のコライダーは、ヒッグスファクトリー実験を実現可能とする電子・陽電子コライダーであるべきだという考え方は、近年、広く高エネルギー物理学者の間で共有されている。その実装としては、従来より日本のコミュニティがリードして推進してきた ILC に代表される線形コライダー方式と、円形コライダー方式が挙げられる。
とくに近年は円形コライダーに関する研究の進展が顕著であり、CERN における LHC 後の基幹コライダー計画を検討する中で、欧州では FCC-ee を中心とした議論が進んでいる。2025年3月には Feasibility Study が完了し、そのレポートがとりまとめられた。現在、「欧州戦略改訂」の手続きが進行中であり、グローバルな枠組みで議論が活発に行われる。他方、中国における CEPC 計画も TDR(技術設計報告書)の完成を経て、具体的な進展がみられる。第15次五カ年計画に向けたプロジェクトの選定が本年予定されており、注目が集まっている。
本講演では、このような物理情勢・国際情勢のもと、実験屋の立場から、なぜ次世代加速器はヒッグスファクトリーであるべきなのか、なぜその考え方が実験屋の間で主流となっているのかを論じる。あわせて、線形および円形の電子・陽電子コライダーに関する比較スタディー(物理的特性、技術的要素、将来展望)、日本の高エネルギー実験コミュニティの展望、欧州・中国を含む国際コミュニティの動向など、広い観点から概観する。
Primary author
Yasuyuki Okumura
(The University of Tokyo)