Speaker
Fumio Uchida
(IPMU)
Description
現在の宇宙には磁場が遍在する。一方でその有力な起源として、また他方では標準模型を超えた一部の物理模型の帰結として、初期宇宙を一様等方に満たす磁場の存在が議論されてきた。とくに初期磁場が高温で生成したことを仮定すると、電弱対称性の破れに伴って、高温極限では $\mathrm{U}(1)_Y$ の磁場が低温極限では $\mathrm{U}(1)_\mathrm{em}$ の磁場に移り変わることになる。ところが、その遷移過程はよく理解されてこなかった。本研究では、電弱対称性の破れを理論の対称性にもとづいて議論したうえで、とくに磁場の遷移過程をゲージ不変に特徴づける。この帰結として、初期磁場によるバリオン数生成という機構が定量的および定性的に不定性を持つことを指摘する。この機構により課されるものと考えられてきた初期磁場への宇宙論的制限は、大幅に不確かなものになった。