Speaker
Kodai Sakurai
(Tohoku University)
Description
原始ブラックホール(Primordial Black Hole, PBH)は、近年注目されている暗黒物質候補の一つである。PBHは初期宇宙において、大きな密度揺らぎが生じることで生成される。これまで提案されてきた多くのPBH生成のシナリオでは、生成された過密領域が球対称であることが仮定されているが、実際には球対称性からのずれがPBH形成に与える影響は未解明な点が多い。本講演では、従来とは異なる新しいPBH生成機構について議論する。この機構の大きな特徴は、形成される過密領域が球対称性を自然に保持する点にある。さらに、この新しいPBH生成機構を実現する具体的な拡張ヒッグス模型を構築し、そこから予言されるPBHが、すばる望遠鏡やOGLE(Optical Gravitational Lensing Experiment)で観測されているマイクロレンズ現象による増光イベントを説明できることを示す。