Aug 3 – 7, 2026
京都大学基礎物理学研究所
Asia/Tokyo timezone

量子制御の熱力学

Aug 5, 2026, 1:20 PM
1h
湯川記念館 パナソニック国際交流ホール (京都大学基礎物理学研究所)

湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

京都大学基礎物理学研究所

京都市左京区北白川追分町
Invited talk Special invited talk

Speaker

Takahiro Sagawa (The University of Tokyo)

Description

量子熱力学は、量子情報と非平衡熱力学を橋渡しする活発な研究分野を形成している。しかし量子連続測定・連続フィードバック制御のような、量子制御技術の観点から重要な状況において、量子情報と熱力学がどのように関係しているかは十分に明らかになっていなかった。本講演では、量子情報の「流れ」と熱力学の関係についての、理論と実験の研究成果を紹介する。
 まず我々は、量子情報の流れを定量化するために、QC-移動エントロピー(QC-transfer entropy)という概念を導入した[1]。QC-移動エントロピーは、古典確率過程の時系列解析などで用いられる移動エントロピーの自然な量子拡張と見なすことが出来る。我々はそれに基づいて、量子連続測定・連続フィードバックのもとでの熱力学第二法則・ゆらぎの定理の一般化を導いた。
 次に、その理論を実験的に実証することに成功した共同研究について紹介する [2]。SiVセンターの電子スピン量子ビットを用いて、反復的な量子測定と量子フィードバックを実装した。とくに、測定で得られたQC-移動エントロピーによってエントロピー生成を負にすることが可能で、それが一般化された熱力学第二法則とゆらぎの定理を満たすことを実験的に検証した。さらに、フィードバックの因果構造を反映したQC-移動エントロピーを理論・実験の両面から評価し、マルコフ型フィードバックに比べて非マルコフ型フィードバックが熱力学的な利得が大きいことを明らかにした。

[1] T. Yada, N. Yoshioka, and T. Sagawa, Phys. Rev. Lett. 128, 170601 (2022).
[2] T. Yada, P.-J. Stas, A. Suleymanzade, E. N. Knall, N. Yoshioka, T. Sagawa, and M. D. Lukin, Phys. Rev. X 15, 031054 (2025). *: co-first authors

Author

Takahiro Sagawa (The University of Tokyo)

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