量子基礎・量子情報の新展開

Asia/Tokyo
湯川記念館 パナソニック国際交流ホール (京都大学基礎物理学研究所)

湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

京都大学基礎物理学研究所

京都市左京区北白川追分町
Description

2026/07/24   オンライン参加登録を締め切りました。

2026/06/19   オンライン参加に限り、参加登録を再開しました。
2026/06/12   参加登録を締め切りました。

2026/03/05 Webページをオープンしました。

 

 

研究会概要

 近年、量子基礎論および量子情報科学は、相互に深化するのみならず、物性物理学、素粒子論、宇宙論、数理科学、さらには情報科学や熱力学といった周辺分野との交差を通じて、新たな研究領域を切り拓いています。量子もつれや非局所性、量子測定、量子リソース理論といった基礎概念は、量子コンピューティングや量子通信の実装的進展と相補的に発展し、同時にブラックホール情報問題や量子重力、トポロジカル相、量子多体系の理解にも深い影響を与えています。 こうした状況のもと、本研究集会では、量子基礎論と量子情報科学の近年の進展を軸に、他分野との相互作用がもたらす新たな理論的・実験的展開に焦点を当てます。分野横断的な視点から、量子論の構造そのものを問い直す試み、情報理論的アプローチによる物理法則の再定式化、ならびに実験技術の高度化が基礎的問いへと還流する動向を議論します。 

 本研究集会では、量子基礎論・量子情報科学の第一線で活躍する研究者による招待講演に加え、関連分野の専門家による講演、学生・若手研究者向けのチュートリアル講義、ポスター発表の機会を設けます。分野間の積極的な対話を通じて、新たな共同研究の萌芽を育み、将来の研究コミュニティを担う若手研究者の育成を期待します。 量子論の基礎に関心をもつ研究者・学生はもちろん、他分野からの参加も歓迎します。本研究集会が、量子科学の次の展開を構想するための実りある議論の場となることを期待しています。

 

キーワード:ベル不等式、不確定性関係、両立不可能性、量子推定、量子限界、情報熱力学、量子リソース変換、情報幾何、情報スペクトル、ユニバーサル符号、多体エンタングルメント、ランダム量子多体系、開放量子系、トポロジカル秩序、非平衡量子系・量子多体系の量子アルゴリズム、高階量子演算、量子重力、量子カオス

 

※本研究会の口頭講演は招待講演のみです。ポスター発表は参加者から募集しております。

 

 

開催日時・場所

●  日程:2026年8月3日(月) 〜  8月7日(金)

●  場所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール [オンライン配信あり※1]

        (基礎物理学研究所へのアクセスはこちら

●  参加登録、ポスター発表申込、旅費補助申込:月12日(金) 締切※2  

 オンライン参加登録:7月24日(金)締切※4

    発表概要提出:月26日(金) 締切※3

 

※1  オンライン参加のみを希望される方も参加登録が必要です。

 

※2  主に学生を対象として、ポスター発表者の中から希望者に旅費の援助を行います。予算に限りがあるため、研究費等をお持ちの方はなるべくそちらをお使いください。旅費補助希望者の人数によっては、支給者の選定および一部補助になる場合もございますので、ご了承下さい。

 

※3  発表概要の提出にはIndico YITPのアカウント取得が必要です(アカウント取得はこちら)。

 

※4  参加人数が定員を超えた場合、期日より前に参加登録を締切らせていただく場合があります。

 

費用

ブレーク代1人1000円、現地で集金します。

 

主題

当研究会では、量子基礎論および特に繋がりの深い量子情報科学における問題点を整理することで、物理学に更なる発展をもたらすことを目指します。量子基礎・量子情報分野における最先端の研究成果はもとより、近年の両分野の発展を背景とした、素粒子・宇宙・物性との分野横断的な研究成果の発表を強く歓迎します。

 

 

プログラム

●  8月3日:チュートリアル講演

●  8月4〜7日:招待講演、ポスターセッション

詳細はタイムテーブルのページをご覧ください。

 

 

Tutorial

倉持 結(九州大学)

 ‘‘量子測定理論:拡張定理、反復可能性、およびWigner-Araki-Yanase定理”

 

水田 郁(大阪大学)

 ‘‘Hamiltonianシミュレーション”

 

 

Invited Speakers

磯 暁(理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構)

 ‘‘素粒子物理の量子限界 — 有限の観測者は自然界から何を引き出せるか —’’

 

今井 敏也(筑波大学)

 ‘‘多体エンタングルメントの特徴づけ’’

 

緒方芳子(京都大学数理解析研究所)

 ‘‘Topological Order : An Operator-Algebraic Approach’’

 

木村 元(東北大学)

 ‘‘開放量子系における緩和時間の普遍則 — 完全正値性、k-正値性の物理’’

 

桑原 知剛(理化学研究所)

 ‘‘Spectral Small-Incremental-Entangling Theorem’’

 

沙川貴大(東京大学)

 ‘‘量子制御の熱力学’’

 

髙木 隆司(東京大学)

 ‘‘Universal resource distillation’’

 

高三和晃(東京大学)

 ‘‘物質の限界を超える挑戦:非平衡からポスト量子まで’’

 

高橋 惇(東京大学物性研究所)

 ‘‘量子多体系の計算複雑性: 固有値ギャップによる量子と古典アルゴリズム’’

 

田窪 洋介(新居浜工業高等専門学校)

 ‘‘LHC-ATLAS実験での世界最高エネルギーを用いたベル不等式の検証可能性について’’

 

長岡浩司(電気通信大学)

 ‘‘量子系の情報幾何学と情報スペクトルを巡って’’

 

根本 香絵(沖縄科学技術大学院大学)

 ‘‘量子コンピュータのスケール性と量子機械学習’’

 

野口 篤史(東京大学・理化学研究所)

 ‘‘超伝導回路が拓くハイブリッド量子技術’’

 

Francesco Buscemi(名古屋大学)

 ‘‘Retrodictive Uncertainty Relations’’

 

本多正純(理化学研究所、埼玉大学)

 ‘‘Quantum Error Correction and Lattice Gauge Theory’’

 

皆川慎太朗(エクス=マルセイユ大学)

 ‘‘両立不可能性を用いた予測不可能な量子乱数生成’’

 

村尾 美緒(東京大学)

 ‘‘高階量子計算と因果順序’’

 

望月 健(東京大学)

 ‘‘測定下の量子系における複雑性やスペクトル’’

 

森 崇人(立教大学)

 ‘‘Quantum information processing and correlation in holographic spacetimes’’

 

吉岡 信行(東京大学)

 ‘‘Gates and Observable Estimation in Early Fault-Tolerant Quantum Computing’’

 

中田 芳史 (東京科学大学)

 ‘‘量子カオスにおけるスクランブリング・誤り訂正・熱平衡化’’

 

後援

本研究会は、

 ・京都大学基礎物理学研究所(基研研究会の一環として)

 ・理研委託金

の補助を受けて開催されています。

 

 

世話人

荒井 駿(NTT、連絡責任者

木村 元(東北大学)

倉持 結(九州大学)

高倉 龍(大阪大学)

高柳 匡(京都大学基礎物理学研究所)

中田 芳史(東京科学大学)

本多 正純(理化学研究所、埼玉大学)

松浦 孝弥(理化学研究所)

水田 郁(大阪大学)

皆川 慎太朗(エクス=マルセイユ大学)

李 宰河(東京大学)

    • 8:30 AM 9:30 AM
      受付 1h 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 9:30 AM 9:40 AM
      開会(諸注意など) 10m 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 9:40 AM 10:50 AM
      チュートリアル: チュートリアル講演:量子測定理論:拡張定理、反復可能性、およびWigner-Araki-Yanase定理(倉持結) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 9:40 AM
        量子測定理論:拡張定理、反復可能性、およびWigner-Araki-Yanase定理 1h 10m

        本チュートリアル講演では無限次元・連続出力を含む一般の量子測定理論について解説を行う。内容としては、Ozawaの1984年の論文(J. Math. Phys. 25, 79–87 (1984))で扱われた、完全正値インストゥルメントに関する拡張定理、反復可能測定とその離散性、および保存則(対称性)による量子測定過程に対する本質的制約を表すWigner-Araki-Yanase定理を対象とし、今日の発展を踏まえた定式化・説明を行う。

        Speaker: Yui Kuramochi (Kyushu University)
    • 10:50 AM 11:10 AM
      休憩 20m
    • 11:10 AM 12:20 PM
      チュートリアル: チュートリアル講演:量子測定理論:拡張定理、反復可能性、およびWigner-Araki-Yanase定理(倉持結) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 11:10 AM
        量子測定理論:拡張定理、反復可能性、およびWigner-Araki-Yanase定理 1h 10m

        本チュートリアル講演では無限次元・連続出力を含む一般の量子測定理論について解説を行う。内容としては、Ozawaの1984年の論文(J. Math. Phys. 25, 79–87 (1984))で扱われた、完全正値インストゥルメントに関する拡張定理、反復可能測定とその離散性、および保存則(対称性)による量子測定過程に対する本質的制約を表すWigner-Araki-Yanase定理を対象とし、今日の発展を踏まえた定式化・説明を行う。

        Speaker: Yui Kuramochi (Kyushu University)
    • 12:20 PM 1:50 PM
      お昼休み/コーヒーブレイク 1h 30m
    • 1:50 PM 3:00 PM
      チュートリアル: チュートリアル講演:Hamiltonianシミュレーション(水田郁) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 1:50 PM
        Hamiltonianシミュレーション 1h 10m

        量子多体系のシミュレーションは量子計算機の有望な使途である。その中でも特に、量子多体系のダイナミクスをシミュレートする Hamiltonian シミュレーションは量子計算機による指数加速が確実視されると同時に物性物理・量子化学への応用性から最も中心的な分野の一つである。本講演では量子アルゴリズムの基礎から紹介し、積公式をはじめとした Hamiltonian シミュレーションの量子アルゴリズムを議論する。

        Speaker: Kaoru Mizuta (University of Osaka)
    • 3:00 PM 3:20 PM
      休憩 20m
    • 3:20 PM 4:30 PM
      チュートリアル: チュートリアル講演:Hamiltonianシミュレーション(水田郁) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 3:20 PM
        Hamiltonianシミュレーション 1h 10m

        量子多体系のシミュレーションは量子計算機の有望な使途である。その中でも特に、量子多体系のダイナミクスをシミュレートする Hamiltonian シミュレーションは量子計算機による指数加速が確実視されると同時に物性物理・量子化学への応用性から最も中心的な分野の一つである。本講演では量子アルゴリズムの基礎から紹介し、積公式をはじめとした Hamiltonian シミュレーションの量子アルゴリズムを議論する。

        Speaker: Kaoru Mizuta (University of Osaka)
    • 4:30 PM 6:00 PM
      Free discussion 1h 30m
    • 8:40 AM 9:40 AM
      受付 1h 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 9:40 AM 10:00 AM
      開会(諸注意など) 20m 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 10:00 AM 10:40 AM
      Invited talk: 物質の限界を超える挑戦:非平衡からポスト量子まで(高三和晃) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 10:00 AM
        物質の限界を超える挑戦:非平衡からポスト量子まで 40m

        現代の物質科学は、主として平衡状態、及びその近傍にある物質の理解を基盤として発展してきた。一方、近年の実験技術の進展により、非平衡状態にある物質を実現し、その振る舞いを観測・制御することが可能になりつつある。非平衡状態は、自由エネルギーの最小化などのルールに縛られず、平衡系では到達困難、あるいは実現不可能な秩序や機能を生み出しうる。その意味で、非平衡物質相は、従来考えられてきた物質の限界を超える可能性を秘めている。
        私はこれまで、こうした非平衡物質相の理解と制御を目指して研究を進めてきた。本講演では、その一例として、生物の群れなどのモデルで知られるアクティブマターを量子多体系へ拡張した「量子アクティブマター」に関する研究を紹介する[1,2]。
        さらに最近では、物質相という概念を量子論の枠外へと拡張する可能性を探るため、一般確率論にもとづくポスト量子系の研究にも取り組んでいる[3]。現段階では2体系の解析にとどまり、直ちに「物質」と呼べる段階には至っていないが、本講演では、現時点で得られた結果を概観するとともに、その先にどのような多体系や物質相の物理が展望できるのかについて議論する。

        [1] K. Adachi, KT, and K. Kawaguchi, Phys. Rev. Research 4, 013194 (2022)
        [2] KT, K. Adachi, and K. Kawaguchi, Phys. Rev. Research 6, 023096 (2024)
        [3] S. Umekawa, A. Hokkyo, H. Arai, and KT, in preparation.

        Speaker: Kazuaki Takasan (The University of Tokyo)
    • 10:40 AM 11:20 AM
      Invited talk: 測定下の量子系における複雑性やスペクトル(望月健) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 10:40 AM
        測定下の量子系における複雑性やスペクトル 40m

        本発表では、測定下の量子系における複雑性に関連した現象を二つ紹介する。一つは、ボゾンサンプリング問題における計算複雑性と関連する転移である:多光子系に対する測定強度を上げていくと、時間空間反転対称性の破れという時間発展演算子のスペクトル転移に伴って、古典コンピュータによる光子数分布の効率的サンプリングが可能になる、すなわち量子超越性が失われる[1]。もう一つは、多体スピン系におけるエンタングルメントに関連する転移である:スピン測定の強度を上げていくと、有効ハミルトニアンのギャップレス相/ギャップド相の間のスペクトル転移に伴って、エンタングルメント体積則相/面積則相の間の転移が起こる[2]。
        [1]Ken Mochizuki and Ryusuke Hamazaki, "Distinguishability Transitions in Non-Unitary Boson Sampling Dynamics", Physical Review Research 5, 013177 (2023).
        [2]Ken Mochizuki and Ryusuke Hamazaki, "Measurement-Induced Spectral Transition", Physical Review Letters 134, 010410 (2025).

        Speaker: 健 望月 (東京大学)
    • 11:20 AM 11:50 AM
      休憩 30m
    • 11:50 AM 12:30 PM
      Invited talk: Quantum Error Correction and Lattice Gauge Theory(本多正純) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 11:50 AM
        Quantum Error Correction and Lattice Gauge Theory 40m

        We explore relations between quantum error correction and gauge theory. They have a conceptual similarity that quantum error correction provides a redundant description of logical qubits in terms of encoded qubits while gauge theory has a redundancy to describe physical states. Motivated by the conceptual similarity and recent demand for efficient ways to put gauge theories on quantum computers, we develop a comprehensive framework for constructing quantum error correcting codes from Abelian lattice gauge theories using quantum reference frames as a unifying formalism. This talk is mainly based on a joint work with Javier P. Lacambra, Aidan Chatwin-Davies and Philipp A. Hoehn (arXiv:2604.06087).

        Speaker: Prof. Masazumi Honda (RIKEN iTHEMS)
    • 12:30 PM 2:00 PM
      お昼休み 1h 30m
    • 2:00 PM 3:00 PM
      Special invited talk: Topological Order : An Operator-Algebraic Approach(緒方芳子) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 2:00 PM
        Topological Order : An Operator-Algebraic Approach 1h

        Quantum many-body physics is a field of physics that investigates
        macroscopic properties of matter emerging from the collective behavior
        of
        many interacting quantum particles. The study of topological order
        tries to classify phases of matter by introducing equivalence or
        preorder relations
        between states of physical interest from a physically motivated point of view.
        This physical point of view introduces the concept of locality to the
        problem, a feature that has not been extensively investigated in
        purely mathematical research.
        In this talk, I would like to give an overview of this developing area
        of mathematical physics.

        Speaker: Dr Yoshiko Ogata (Kyoto University)
    • 3:00 PM 3:30 PM
      コーヒーブレイク 30m
    • 3:30 PM 4:00 PM
      ポスター: ポスター紹介① 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

    • 4:00 PM 6:00 PM
      ポスター: ポスターセッション 湯川記念館 Y206, Y306

      湯川記念館 Y206, Y306

      京都大学基礎物理学研究所

      • 4:00 PM
        量子局所クエンチにおけるマルチエントロピー 4m

        マルチエントロピーはレプリカ法の一般化によって定義され、多体エンタングルメント測度として提案されている。本研究では、量子局所クエンチ後の多体エンタングルメントの実時間発展を、共形場理論(CFT)およびホログラフィーの両面から調べる。CFT側では、二つのヘビー演算子と三つのライトなツイスト演算子からなる五点相関関数を計算し、大きな中心電荷極限において真の三体マルチエントロピーを計算する。一方で重力側では、局所演算子クエンチはAdS時空へ落下する質量を持つ粒子によって記述される。バックリアクションを考慮した幾何を評価することで、対応するホログラフィックな真のマルチエントロピーを計算する。本講演は、田耕健也氏との最近の共同研究 arXiv:2606.12526 に基づく。

        Speaker: Kosei Fujiki (Yukawa Institute for Theoretical Physics)
      • 4:04 PM
        Nonequilibrium steady state in Lindblad dynamics for infinite quantum spin systems 4m

        We consider Lindblad dynamics of quantum spin systems on infinite lattices and define a nonequilibrium steady state (NESS) and a time-averaged nonequilibrium steady state (TANESS) on the basis of C*-algebraic formalism. Generically, the NESS on an infinite system does not equal the thermodynamic limit of NESSs on finite systems. We give a sufficient condition that they coincide with each other, in terms of both a condition number, which quantifies the normality of a Liouvillian, and some spectral gaps on finite subsystems.To appreciate the importance of the condition number, we provide an example in which the spectral gaps have nonzero lower bounds uniformly for any finite subsystems but a thermodynamic limit and a long-time limit (or a long-time average) do not commute with each other.
        This poster is based on arXiv:2508.07448.

        Speaker: Kenji Shimomura (Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University)
      • 4:08 PM
        空間相関を持つ純粋位相緩和モデルにおける 3 体エンタングルメントの開放系ダイナミクス 4m

        開放量子系におけるエンタングルメントのダイナミクスを理解することは、堅牢な量子情報処理の実現に向けて重要である。空間相関を持つ環境ノイズの影響は 2 体エンタングルメントについては広く研究されているものの [1]、真の多体エンタングルメントに対する影響は、SLOCCに基づくもつれクラスの分類や解析の複雑さゆえに、十分には解明されていない [2]。
         そこで本研究では、空間相関を有する純位相緩和ノイズを伴う 3 量子ビット系のエンタングルメントダイナミクスを理論的に解析した。具体的には、3 次元ボゾン環境と結合する 3 量子ビットを一辺が$R$の正三角形の頂点に配置し、量子ビット間距離$R$に依存した環境の空間相関を取り込んだモデルを構築した。このモデルにおいて、注目系の状態$\rho_S(t)$の時間発展はGKLS型のマスター方程式[3,4]で記述され、マルコフ性を判定する緩和率は、単一量子ビット由来の散逸モードと、環境相関由来の散逸モードの線型結合として表される。本研究では$\rho_S(t)$の3体エンタングルメントの定量化にエンタングルメントの相対エントロピー(REE)を用い、その時間発展を解析した。その結果、GHZ状態およびW状態を初期状態とした場合には、 $R$に対するREEの振る舞いは対照的でありながら、緩和率が負となる非マルコフな時間領域において、両状態のREEがリバイバルすることが示された。一方、GHZ状態と局所ユニタリ同値だが量子相関の対称性が異なる状態においては、REEの$R$依存性がGHZ状態の場合と逆転し、非マルコフ性とREEリバイバルの対応関係も崩れることが確認された。
         以上の結果は、真の多体エンタングルメントの開放系ダイナミクスがSLOCCクラスのみでは特徴づけられず、状態の対称性と環境相関との関係に本質的に依存することを示唆するものである。
        [1] S. McEndoo et al., EPL, 101, 60005 (2013).
        [2] C. Radhakrishnan et al., EPL, 146, 38001 (2024).
        [3] V. Gorini, A. Kossakowski, and E. C. G. Sudarshan, J. Math. Phys. 17, 821 (1976).
        [4] G. Lindblad, Commun. Math. Phys. 48, 119 (1976).

        Speaker: Nanami Abe (The University of Osaka)
      • 4:12 PM
        Bottom-up open EFT for non-Abelian gauge theory with dynamical color environment 4m

        散逸を持つような開放系の非可換ゲージ理論記述するため、Schwinger--Keldysh形式に基づくボトムアップな開放有効場理論(open EFT)の枠組みを提案する。
        我々は、動的なcolor frameなどの遅い環境応答変数をあらわに残すことで、局所的なsystem-(retained)environment EFTを構築した。
        このセットアップにより、非局所的かつ非マルコフ的なカラー応答の、ゲージ共変なMarkov embeddingが可能となる。
        これらの自由度を遅延境界条件のもとで積分消去すると、非局所的な散逸と確率論的ノイズが自然に再現されることを示す。
        本発表は西井莞治氏との共同研究 arXiv:2605.22822 に基づく。

        Speaker: Yoshihiko Abe (慶應義塾大学)
      • 4:16 PM
        純粋状態に対する極小な情報完全測定の存在条件 4m

        測定結果の確率分布から量子状態を一意に決定する方法は,量子状態トモグラフィーと呼ばれる.特に,単一のPOVM測定の測定結果から量子状態を決定できるとき,そのPOVMは情報完全であるという.$D$ 準位量子系において,一般の混合状態に対する情報完全POVMには,自由度の観点から少なくとも$D^2$ 個の要素が必要である.一方,対象を純粋状態に制限すると,状態の自由度が減少するため,より少ない測定結果数で情報完全性が実現できると期待される.そこで本発表では,純粋状態に対する情報完全POVMの最小測定要素数について議論する.
        $D$ 準位量子系における純粋状態を記述するには,規格化条件と位相の不定性を考慮すると,$2D-2$ 個の実パラメータが必要である.したがって,素朴には,純粋状態に対する情報完全性を持つためには,確率の規格化条件を考慮して,少なくとも$2D-1$ 個の測定結果が必要であると考えられる.しかし,$2005$ 年にFlammia,Silberfarb,Cavesは,$2D-1$ 個の測定結果では情報完全性を達成できないことを示し,さらに$2D$ 個の要素からなる純粋状態情報完全POVMが存在することを示した [1].
        本ポスターでは,Flammiaらの結果をレビューするとともに,その証明の改善を行う.特に,qubit系($D=2$ )の場合にはBlochベクトル表現を用いることで,彼らの結果に対するより簡潔な幾何学的証明を与える.また,qutrit系($D=3$ )に着目し,$6\,(=2D)$ 要素の純粋状態情報完全POVMの特徴づけ,および,$5\,(=2D-1)$ 要素POVM測定の測定結果と整合的な純粋状態の個数の特定について議論する.

        [1] Steven T. Flammia, Andrew Silberfarb and Carlton M. Caves, Foundations of Physics, Vol. 35, pp. 1985--2006 (2005).

        Speaker: 宮川 尭大 (芝浦工業大学)
      • 4:20 PM
        Genuine Non-Markovianity in General Open-System Processes 4m

        Abstract

        Buscemi et al. [PRX Quantum 6, 020316 (2025)] introduced the notion of genuine information backflows, namely information revivals in non-Markovian open quantum dynamics that cannot be explained by pre-existing correlations. However, that framework assumes that the system can be initialized in arbitrary quantum states, thereby excluding physically relevant settings in which the accessible state space is restricted, for example by superselection or conservation rules, limited experimental controllability, or classicality constraints. Here we bridge this gap by developing a theory of genuine information backflows for preparable sets of initial states. This extension allows classical stochastic processes, represented by restricted families of mutually commuting states, to be treated as special cases of the same formalism, whereas previous approaches were limited to fully quantum processes. Within this framework, information revivals are classified according to whether the observed increase in mutual information can be explained by inaccessible auxiliary correlations. This leads to distinct notions of system-world, environment-world, and global explainability, which are separated from genuinely dynamical revivals. We establish a hierarchy among these explanatory classes and identify a sufficient condition under which every revival is necessarily non-genuine. Finally, we reveal a structural asymmetry between system-side and environment-side conditional independence.

        Introduction

        The exchange and redistribution of information between a system and its environment is a defining feature of open quantum dynamics [5]. In particular, temporary increases in correlations between an open system and an isolated reference are commonly regarded as signatures of information revivals and play a central role in the characterization of memory effects and non-Markovian behavior [1]. Operationally, such revivals are typically identified through an increase in mutual information following a preceding degradation [7, 2].

        Recent developments have refined this perspective by distinguishing between genuine and extrinsic information revivals [3]. Genuine revivals correspond to information backflow arising from memory effects in the system–environment interaction itself, whereas extrinsic revivals may instead be explained through pre-existing correlations independent of the system [3]. Consequently, the observation of a revival alone is insufficient to establish the presence of genuine memory effects.

        The analysis of [3], however, is restricted to pure maximally entangled reference–system states. Such an assumption excludes a broad class of physically relevant scenarios involving arbitrary mixed states, including classical, quantum, and hybrid correlations commonly encountered in realistic noisy settings. More fundamentally, it relies on the implicit assumption that the entire state space of the system is operationally accessible. In practice, experimental, structural, or fundamental constraints often restrict the set of states that can be prepared, so that the dynamics is only defined on a limited family of inputs. In such situations, reduced-channel descriptions may fail to uniquely characterize the evolution [2].

        In this work, we investigate information revivals within a minimal three-time scenario comprising initial, intermediate, and final observation times. To distinguish genuinely dynamical revivals from those that can be attributed to extrinsic correlations (i.e., correlations that do not encode information about the system and therefore cannot represent information backflow), we introduce a suitable local interaction model allowing also for "inert" degrees of freedom, as in [3].

        The key difference here is that, in order to accommodate general sets of initial states, the reference–system state is no longer assumed to be pure. As a result, inert degrees of freedom need not be confined to the environment: they may reside on the system side, or be distributed across both system and environment.

        Within this setting, revivals admit a classification in terms of their explainability, distinguishing system-world, environment-world, and global explanations from genuine revivals. We establish a hierarchy among these explanatory classes and provide a sufficient condition under which any revival is necessarily non-genuine. Finally, we identify a structural asymmetry between system-side and environment-side conditional independence: while system-side decoupling enforces global explainability, the corresponding environment-side condition does not, in general, imply the same conclusion.

        Formalization

        To investigate information revivals in open quantum dynamics, we consider the minimal temporal scenario consisting of three observation times, "snapshots," $t_{0} < t_{1} < t_{2}$. The corresponding system states may be regarded as three-time snapshots of the evolution: an initial time $t_{0}$, an intermediate time $t_{1}$, and a final time $t_{2}$. Since revivals concern a temporary loss and a subsequent recovery of information, at least three times are necessary to characterize the phenomenon [3].The evolution of an open system is fundamentally a process and should therefore be represented by an object capable of describing the evolution of all operationally accessible states simultaneously [2]. Let $\mathcal{S}$ denote the set of physically preparable states of the system. In general, $\mathcal{S}$ is a convex subset of $\mathcal{L}_{+,1}(\mathcal{H})$, the set of positive semidefinite unit-trace operators acting on the finite-dimensional Hilbert space $\mathcal{H}$ associated with the system.

        In the idealized case where every quantum state is operationally accessible, namely $\mathcal{S}=\mathcal{L}_{+,1}(\mathcal{H})$, the evolution of the open-system dynamics from an initial time $t_{0}$ to later times $t_{1}$ and $t_{2}$ is naturally represented by completely positive trace-preserving (CPTP) maps,
        $$ \mathcal{N}{t{0}\to t_{1}} \qquad \mathcal{N}{t{0}\to t_{2}} $$ or equivalently by their corresponding Choi operators [4, 6]. In this setting, the evolution of any possible state is fully specified by the channels. However, we note that, in general, the intermediate step $t_{1}\to t_{2}$ need not admit a CPTP description, reflecting the possible non-divisibility of the dynamics [3]. For the purposes of the present work, such a description is overly restrictive. In realistic scenarios, not every state allowed by quantum theory is operationally accessible. Experimental constraints, preparation procedures, or structural restrictions may limit the possible state space to a proper subset $$ \mathcal{S} \subsetneq \mathcal{L}_{+,1}({\mathcal{H}}) $$ This limitation becomes particularly relevant when seeking a unified framework capable of treating both quantum and classical systems. For example, classical systems may be represented as subsets of mutually commuting states, in which case different CPTP maps may give rise to the same evolution [2]. Consequently, a channel description alone no longer uniquely characterizes the operational process. We thus need to introduce a formalism that allows us to treat such more general situations. Such a formalism is provided by the idea of preparable systems, namely, subsets $\mathcal{S}$ such that there exists a finite dimensional Hilbert space $\mathcal{K}$ and a completely positive map $\mathcal{P}:\mathcal{L}(\mathcal{K})\to\mathcal{L}(\mathcal{H})$ such that for all $\rho \in \mathcal{S}$ there exists $R\geqslant 0$ in $\mathcal{L}(\mathcal{K})$ with$$ \rho = \frac{\mathcal{P}(R)}{\operatorname{Tr}\left[\mathcal{P}(R)\right]} $$ [2]This means that every accessible state in $\mathcal{S}$ can be generated through a common physical preparation procedure applied to an underlying "raw" system, possibly followed by post-selection. A key consequence of this construction is that all possible preparations may be encoded in a single bipartite state $\rho_{RQ}$, where the auxiliary reference system $R$ captures the structure of the accessible preparation space [2]. Importantly, $\rho_{RQ}$ need not be pure and may contain arbitrary mixtures of classical and quantum correlations. This stands in contrast to Ref. [3], where the reference-system state is taken to be maximally entangled, consistently with the fact that therein the object of interest is the reduced channel. In this work, rather than focusing on a single initial state, we adopt a description in terms of triples of states $$ \rho_{RQ},\sigma_{RQ'},\tau_{RQ''} $$ which are compatible. That is, they represent the evolution of accessible reference–system correlations across three ordered times, $$ t_{0} \rightarrow t_{1} \rightarrow t_{2}. $$ Throughout, the reference system $R$ remains non-interacting. Consequently, every compatible triple necessarily satisfies $$ \rho_{R}=\sigma_{R}=\tau_{R}. $$ A revival is defined as an increase in mutual information between the reference and the system at the final time $t=t_{2}$ relative to the intermediate time $t=t_{1}$ $$ I(R; Q''){2} > I(R; Q'){1} $$ under the local evolution constraint (i.e., the data-processing inequality) [2] $$ I(R; Q){0} \geqslant I(R; Q'){1} \quad\text{and}\quad I(R; Q){0} \geqslant I(R; Q''){2}. $$ We define the dynamics through a **Local Interaction Model** (LIM). A compatible triple of states is said to admit a LIM if there exists an initially uncorrelated environment $E$, prepared in some state $\omega_{E}$, with local unitary interactions $$ U_{QE \rightarrow Q'E'}, \qquad V_{Q'E' \rightarrow Q''E''}, $$ such that $$ \sigma_{RQ'} = \operatorname{Tr}{E'}\left[ U \left(\rho{RQ} \otimes \omega_{E}\right) U^\dagger \right], $$ $$ \tau_{RQ''} = \operatorname{Tr}{E''}\left[ V U \left(\rho{RQ} \otimes \omega_{E}\right) U^\dagger V^\dagger \right]. $$ Although the dimension of their product remains conserved, for any given LIM, the local dimensions of $Q$ and $E$ can change.The observation of a revival alone does not determine whether it reflects genuine information backflow from the environment or can instead be accounted for through inaccessible auxiliary correlations [3]. To distinguish between these possibilities, we introduce an **extended Local Interaction Model** (ext-LIM), obtained by augmenting the LIM with inert auxiliary systems $S$ and $F$ on the system and environment sides, respectively. These auxiliary systems do not participate in the interaction dynamics, but may carry correlations capable of explaining an observed revival. A revival is said to be *explainable* (i.e., non-genuine) if there exists an ext-LIM satisfying the following explanatory conditions. A revival is called *environment-world explainable* if $$ I(R;Q'F){1} \geqslant I(R;Q''F){2}, $$ or equivalently using quantum conditional mutual information (QCMI), $$ I(R;E''|Q''F){2} \geqslant I(R;E'|Q'F){1}, $$ *system-world explainable* if $$ I(R;Q'S){1} \geqslant I(R;Q''S){2}, $$ equivalently, $$ I(R;E''|Q''S){2} \geqslant I(R;E'|Q'S){1}, $$ or *globally explainable* if $$ I(R;Q'SF){1} \geqslant I(R;Q''SF){2}, $$ equivalently, $$ I(R;E''|Q''SF){2} \geqslant I(R;E'|Q'SF){1}. $$ That is, a revival is explainable whenever the apparent increase in mutual information disappears once suitable inert degrees of freedom are taken into account. If no such explanatory extension exists, the revival is classified as *genuine*. #The Results The presented framework induces a hierarchy for the different classes of explanations for information revivals. Within this framework, system-world and environment-world explainability each imply global explainability: $$ \text{System} \implies \text{Global}, \qquad \text{Environment} \implies \text{Global}. $$ This follows from the fact that any system-world (respectively environment-world) explanation may always be extended by adjoining an inert auxiliary system on the environment side (respectively system side), thereby yielding a valid global explanation. However, the converse implications fail in general: \begin{equation} \text{Global} \;\not\Rightarrow\; \text{System}, \qquad \text{Global} \;\not\Rightarrow\; \text{Environment}. \end{equation} Thus, the observation of a global explanation does not guarantee the existence of explanatory correlations localized exclusively to either the system or environment side. **Theorem 1 (Sufficient Condition)** *Consider a compatible triple $$ (\rho_{RQ},\sigma_{RQ'},\tau_{RQ''}) $$ admitting an ext-LIM. If there exists a system-side inert extension $S$ such that $$ I(R;Q|S){0} = 0, $$ then any information revival occurring after $t{1}$ is necessarily non-genuine. In particular, all such revivals are system-world explainable, and therefore globally explainable.* **Theorem 2 (Structural Asymmetry I)** *Consider a compatible triple $$ (\rho_{RQ},\sigma_{RQ'},\tau_{RQ''}) $$ admitting an ext-LIM. If $$ I(R;E'|Q'S){1} = 0, $$ then $$ I(R; E'|Q'SF){1} = 0 $$ is enforced. Consequently, the global explanatory condition is thus automatically satisfied.* **Remark 2** *The condition $$ I(R;Q|S){0} = 0 $$ implies that, conditioned on the inert system $S$, the reference and system are initially independent. Operationally, all reference–system correlations are already mediated through auxiliary degrees of freedom on the system-side at $t{0}$. Consequently, any subsequent revival cannot reflect genuine dynamical backflow and instead is always system-world and, thus, globally explained.* **Proposition 1 (Structural Asymmetry II)** *Consider a compatible triple $$ (\rho_{RQ},\sigma_{RQ'},\tau_{RQ''}) $$ admitting an ext-LIM. The condition $$ I(R;E'|Q'F)_{1} = 0 $$ does not, in general, guarantee global explainability.* **Remark 3** *In contrast to the system-side case, environment-side conditional independence alone is insufficient to enforce global explainability. This asymmetry originates from the placement of the reference system $R$ within the system-side sector of the total composite system.*

        References

        [1] H.-P. Breuer, E.-M. Laine, and J. Piilo, Measure for the degree of non-Markovian behavior of quantum processes in open systems, Phys. Rev. Lett. 103, 210401 (2009).

        [2] F. Buscemi, Complete positivity, markovianity, and the quantum data-processing inequality, in the presence of initial system-environment correlations, Phys. Rev. Lett. 113, 140502 (2014).

        [3] F. Buscemi, R. Gangwar, K. Goswami, H. Badhani, T. Pandit, B. Mohan, S. Das, and M. N. Bera, Causal and noncausal revivals of information: A new regime of non-markovianity in quantum stochastic processes, PRX Quantum 6, 020316 (2025).

        [4] M.-D. Choi, Completely positive linear maps on complex matrices, Linear Algebra Appl. 10(3), 285–290 (1975).

        [5] R. S. Ingarden, A. Kossakowski, and M. Ohya, Information Dynamics and Open Systems: Classical and Quantum Approach (Springer, 1997).

        [6] A. Jamiołkowski, Linear transformations which preserve trace and positive semidefiniteness of operators, Rep. Math. Phys. 3(4), 275–278 (1972).

        [7] S. Luo, S. Fu, and H. Song, Quantifying non-markovianity via correlations, Phys. Rev. A 86, 044101 (2012).

        Speaker: Abdullah Alsharari (Department of Mathematical Informatics, Nagoya University)
      • 4:24 PM
        量子論を超えたエンタングルメント生成: ポペスク=ローリッヒ箱相関の達成 4m

        Bell 定理と CHSH 不等式は、局所実在論が許す相関と量子エンタングルメントによる非局所相関の差異を明確にし、局所性と実在性の両立不可能性を示した。一方で、量子論にも Tsirelson 限界という越えられない上限が存在する。これに対し Popescu と Rohrlich は、no-signalling 原理の下でも CHSH 値の代数的最大値を達成する PR box を構成した。このような beyond-quantum 相関が自然界で観測されない事実は、量子論を特徴づける追加原理の探究を促してきた。 従来の議論は主として、与えられた状態または相関がどこまで強くなり得るかという静的な制約に関するものである。これに対し本研究は、beyond-quantum 理論における動的な問題、すなわち無相関な product state から非局所相関を生成できるかに焦点を当てる。量子論では、2 量子ビットの product state に CNOT などの 2-qubit unitary を作用させることでエンタングルメントを生成できる。しかし、PR box を含む一般確率論である boxworld においては、可逆なエンタングルメント生成が不可能であり、量子論の entangling unitary に相当する可逆変換は存在しないとされてきた。 本研究の出発点は、この不可能性が可逆性の仮定に依存しているという点である。そこで我々は、可逆変換ではなく、純粋状態を純粋状態へ写す pure-state-preserving 変換を unitary のアナロジーとして採用する。量子論では、自明な退化的場合を除けば pure-state-preserving 変換は可逆性とほぼ同等である。しかし一般確率論では、pure-state-preserving 性は可逆性より真に弱い条件になり得る。したがって、量子論では見えにくいこの差異が、beyond-quantum 理論における新しい動的構造を生む可能性がある。 実際に我々は、2体の最も単純な boxworld において、無相関な product state から PR box 相関を生成する非自明な pure-state-preserving map を明示的に構成した。これは、可逆変換では不可能とされていた entanglement generation が、pure-state-preserving という自然な緩和の下では可能になることを示すものである。さらに我々は、この設定における pure-state-preserving entangling map を完全に分類し、構成した写像以外には非自明な例が存在しないことを示した。したがって本研究は、boxworld における entanglement generation の可能性を単なる例示にとどめず、その全体構造を決定するものである。

        Speaker: Hayato Arai (The University of Tokyo)
      • 4:28 PM
        銀河画像データの位相空間表現論: 理論と応用 4m

        2020 - 30年代は、地上と宇宙を結ぶ光学望遠鏡群による多波⻑同時観測が史上初めて実現する。そこでは、膨⼤な情報 (ビッグデータ)の適切な情報圧縮が要である。銀河画像データに注⽬すると、天球⾯上の2次元座標に波⻑/⾊ごとに特徴量 (バルジ、渦状腕、合体・衝突痕、視線⽅向の重なり、光学散乱 etc.)が重合した状態で得られる。従来の順⽅向モデルで対処するにはパターン数が膨⼤であり、現状は経験則 (Sersic則、Turry-Fisher関係、市⺠科学)に依存する。ここにさらに、観測光学系の特性(点拡がり (回折限界+⼤気乱流)、光⼦ノイズ)が加わる。我々は、画像表現空間として、4次元の位相空間を導⼊した。光学系の回折限界で定まる位相空間素⼦で正準量⼦化を⽤いて⼒学構造 (symplectic構造)が⼊れられる他、関数解析学を⽤いて表現空間の厳密化が可能となった。この位相空間において、銀河画像はWigner関数を⽤いて表現される。本研究では理論として、SU(2)表現でWigner関数を完全規格直交分解 (Hilbert-Schmidt分解)を具体的に定式化し、"Wigner function shapelets (WFSs)"を構築した。その応⽤として、電波⼲渉計のパイプラインを例にとって、WFSと伝統的な像の再構築法(CLEAN)と⽐較して新しく得られた知⾒を述べる。最後に、銀河形成過程を物質の最適輸送問題として定式化する (T.Takeuchi2026)⽅向と合流して、位相空間表現解析に(量⼦)情報理論の最新の知⾒をどのように反映するか議論する。

        Speaker: 舜 新居 (第一工科大学)
      • 4:32 PM
        ソフト重力子放射によるデコヒーレンスの定式化とソフト光子放射との比較 4m

        量子力学と一般相対論を統一する理論が研究されており、その候補として超弦理論やループ量子重力理論などが提唱されている。しかし、完全な理論は未だ確立されておらず、プランクスケールにおける直接的な実験検証も困難である。そのため、低エネルギー領域に現れる普遍的な効果を通じて、重力が量子力学に従うかを検証することが重要となる。
        本発表では、低エネルギー領域で現れるソフト重力子に注目し、二経路量子干渉系におけるその役割を議論する。先行研究に基づくと、重ね合わせ状態にある荷電粒子と、荷電粒子から放出されるソフト光子が量子的にもつれることで、荷電粒子の状態にデコヒーレンスを引き起こすことが示されている。本発表では、この枠組みを重力子へ拡張し、質量をもつ粒子とソフト重力子がもつれることで生じるデコヒーレンスを解析する。
        理論的には、粒子のエネルギー・運動量テンソルとTT射影演算子を導入し、影響汎関数法を用いてデコヒーレンス汎関数を定式化する。さらに、赤外ドレス状態を考慮した際に残るサブリーディング項の寄与を整理し、電磁気力と重力におけるデコヒーレンスを比較して、その検証可能性を議論する。

        Speaker: 宏太 藤井 (九州大学)
      • 4:36 PM
        開放量子調和振動子系におけるLevel shift作用素の低スペクトル構造 4m

        本研究では,熱浴と線形結合した $N$サイト量子調和振動子系に対し,小系に有限準位カットオフ ($M<\infty$) を導入した近似模型を考える.弱結合極限において,熱浴との相互作用によって生じる二次の有効散逸を記述するLevel shift 作用素の虚部に着目し,その低スペクトル構造を解析することにより,$M\to\infty$での漸近的dark mode と非緩和機構との関係を考察する.
        特に,Level shift作用素虚部の漸近的核を特徴付ける条件として,熱浴とのon-shell 遷移チャネル間の打ち消しに対応するon-shell cancel 条件を導入することで,この条件を Liouvillean 準位グラフ上の局所拘束作用素として捉える枠組みを提案し,低固有値構造と非緩和モードとの関係を解析するための枠組みを与える.

        Speaker: 瑞希 藤本 (北海道大学)
      • 4:40 PM
        重力誘起量子もつれ検証に向けた位置測定型・運動量測定型オプトメカ模型の比較 4m

        重力が量子力学の法則に従うかどうかは未だ実験的に検証されていない根本的問題である。この検証に向けて、重力相互作用のみを介して二つの量子系間に生成される重力誘起量子もつれ(GIE)が注目されている。GIE を検出するためには、巨視的質量の量子状態を制御しながら微弱な重力相互作用を高感度に読み出す必要があり、その候補としてレーザー光と懸架鏡からなるオプトメカ系が考えられている。従来の研究では、鏡の位置を連続的に測定する模型が主に扱われてきた。一方で、同じ光を鏡と二回相互作用させることで位置そのものではなく位置の時間差、すなわち運動量に対応する情報を読み出すスピードメーター型測定も提案されている [1]。この方式では、低周波領域で輻射圧バックアクションの抑制が期待されるが、GIE 生成に有利な条件付き量子状態がどのようなパラメータ領域で実現されるかは十分に明らかでない。
         本研究では、この運動量測定型模型を連続測定の枠組みで記述し、従来の位置測定模型との比較を行う。特に、測定によって得られる鏡の条件付き状態や量子雑音のパラメータ依存性を調べ、運動量測定型模型が GIE 検証に対してどのような利点を持つかを検討する。本発表では、現在進めている模型の定式化と数値解析の進捗について報告する。

        [1] S. Ghosh, D. Carney, P. Shawhan, and J. M. Taylor, Phys. Rev. A 102, 023525 (2020).

        Speaker: Ryotaro Fukuzumi (Kyushu University)
      • 4:44 PM
        Haldane模型における空間・時間反転対称性のダイナミクス 4m

        トポロジカルバンド模型の代表例であるHaldane模型を対象に,時間反転対称性および空間反転対称性に関する非平衡ダイナミクスを解析する.特に,異なるChern数を持つ相の間の量子クエンチを考え,対称性の動的過程を,量子情報的指標であるエンタングルメントアシンメトリー(EA)を用いて定量化する.EAは,部分系の縮約密度行列が対象とする対称変換のもとでどの程度非対称であるかを測る量であり,局所観測量だけでは捉えにくい量子状態の対称性の構造を反映する.本研究では,このEAを反ユニタリな対称性に拡張し,トポロジカル模型における非平衡ダイナミクスを解析する.

        Speaker: 遼吾 原 (電気通信大学 基盤理工学専攻 遠藤研究室)
      • 4:48 PM
        単一物理量の不確定性関係の定式化 4m

        量子力学における不確定性関係は,通常,複数の非可換な物理量の不確定性のトレードオフとして理解される.これに対し本研究では,既知の量子状態に基づいて単一物理量の分散を古典的成分と非古典的成分に分解し,その非古典的成分に対する単一物理量の状態準備型不確定性関係を定式化する[1,2].
        具体的には,まず,状態 $\rho$ と可換な測定で得られる古典的情報を用いた推定の枠組みを導入し,その情報から説明・推定できる分散を取り除くことで,非可換性に由来する不確定性の成分を操作的に特徴づける.次に,有限次元量子系の状態 $\rho$ と物理量 $A$ に対し,この非古典的成分を $[A,\rho^s]\,(\frac{1}{2}\leq s)$,および Wigner--Yanase--Dyson 歪情報量によって下から評価する.このとき係数は固定された状態 $\rho$ の固有値,特に最小固有値と最大固有値のみによって決まり,任意の物理量 $A$ に対して最適な形で成り立つ単一物理量の不確定性関係として与えられる.したがって本結果は,従来の Wigner--Yanase 歪情報量による分散下限を状態依存的に改善するだけでなく,非古典的成分の起源が状態と物理量の非可換性,あるいは物理量に関する状態のコヒーレンスにあることを示す.特に qubit 系では,本関係は不等式ではなく恒等式となり,分散が古典的寄与と非可換的寄与へ完全に分解される.
        さらに,本研究ではこの非古典的な不確定性のみから,Robertson 型関係[3],および我々の先行研究で得られたRobertson 型関係の状態依存な一般化[4]が導かれることを示す.これは,従来の不確定性関係の下限が分散そのものではなく,不確定性のうち状態と物理量の非可換性に依存する部分に由来することを意味する.

        [1]Haruki Yamashita, Aina Mayumi, Gen Kimura, arXiv preprint arXiv:2605.26331[quant-ph] (2026).
        [2]Haruki Yamashita, Gen Kimura, in preparation.
        [3]H. P. Robertson, Physical Review 34, 163 (1929).
        [4]Gen Kimura, Aina Mayumi, Haruki Yamashita, arXiv preprint arXiv:2505.19861[quant-ph] (2025).

        Speaker: Haruki Yamashita (芝浦工業大学)
      • 4:52 PM
        連続測定による重力誘起量子もつれの有限時間検出可能性 4m

        重力の量子性を検証法の一つとして、重力により誘起される量子もつれ(gravity-induced entanglement, GIE)の観測が注目されている。GIE の検出には、極めて弱い重力相互作用によって生じる量子相関を、熱雑音や測定雑音の存在下で有限時間内に読み出す必要がある。そのため、理想的な定常状態でのもつれだけでなく、有限時間の連続測定からどの程度安定にもつれを検出できるかを評価することが重要である。

        本研究では、ニュートン重力により結合した二つの機械振動子を対象に、連続ホモダイン測定による GIE の有限時間検出可能性を数値的に評価した。系を common mode および differential mode に分解し、熱雑音、ショット雑音、輻射圧雑音、およびそれらの相関を含む確率的時間発展を計算した。得られた有限時間のホモダイン測定記録から、Welch 法と Wiener filter により条件付き分散・共分散を再構成し、entanglement negativity とGIE検出率を評価した。

        その結果、適切なパラメータ選択により、理論的には GIE 条件を満たす領域が存在することを確認した。一方で、有限時間の測定記録からもつれを安定に検出するには、特に低周波領域のスペクトル推定と共分散の再構成精度が重要であり、測定時間が検出率を強く制限することが分かった。先行研究で用いられたマイケルソン干渉計での模型では$3\times 10^6$[s]で90%を超えるもつれ検出率を確認し、その有効性を検証できた。
        しかし、測定角を最適化した p-squeezed 条件では理論的なもつれ量は大きくなるが、有限時間推定に伴う揺らぎにより検出安定性が大きく制限されることが示された。

        本発表ではGIE検出に有利な測定条件と、有限時間測定における検出可能性について報告する。

        Speaker: Kosei Hatakeyama (Kyushu University)
      • 4:56 PM
        Quantitative Wigner-Araki-Yanase Theorems for Unitary and Antiunitary Symmetries 4m

        量子測定や量子制御には、対称性に由来する根本的な制約が存在する。Wigner–Araki–Yanase(WAY)定理はその代表例であり、対称性を破る射影測定やユニタリゲートの正確な実装を禁止する。その定量的拡張は、連続対称性のもとで、生成子、すなわち保存量の揺らぎを通してこの制約を特徴づけてきた。一方で、生成子に基づく評価は、離散的なユニタリ対称性や反ユニタリ対称性には適用できない。

        本発表では、任意のユニタリ対称性および反ユニタリ対称性のもとで、対称性を破る射影測定・ユニタリゲートの実装精度に対する定量的な WAY 型定理を示す。鍵となるのは、二つの標的操作に対する no-programming 不等式である。単一のプロセッサが識別可能性を増幅する二つの操作を近似的に実装できるならば、対応するプログラム状態も十分に識別可能でなければならない。

        この不等式を対称な実装に適用することで、測定やゲートの実装誤差を、アンシラ状態に必要な非対称性の下限へと直接結びつける。非対称性は、アンシラ状態とその対称変換後の状態との fidelity により定量化される。本結果は、離散対称性および反ユニタリ対称性を含む広い対称性に適用可能であり、対称性に制限された量子測定・量子制御の基本限界を、連続対称性の枠組みを超えて明らかにする。

        Speaker: Akihiro Hokkyo (the University of Tokyo)
      • 5:00 PM
        量子効果によって増幅されうる「光子・重力子転換」の解析 4m

        量子重力理論は未だ解明されておらず、その解明を阻んでいるのは重力の量子化である。一方で、量子化の際に現れる粒子、重力子を検出できれば、解明は大きく近づく。
        そのような中で、大きな磁場環境の下では電磁波が重力波へと転換し得るという現象が一般に知られている[1]。これはGertsenshtein機構と呼ばれる。従来、この転換は古典的な波動方程式の理論という枠組みの中でのみ扱われてきた。そして、電磁波もしくは光子が、重力波もしくは重力子へ、転換する確率は、極めて小さいと見積もられてきたのがこれまでの状況である。
        しかし近年、この転換現象を量子的な枠組みで捉え、光子や重力子がスクイーズ状態やコヒーレント状態にあるとして設定したとき、重力子への転換確率が大幅に上昇することが明らかになった[2]。これはすなわち、重力子の検出に向けて、まずそれが発生する機構を考えるとき、「光子・重力子転換」が候補の1つに挙げられることを意味する。今回の発表では、[2]の結果も踏まえながら、重力子への転換確率が、量子効果の考慮によっていかに増幅するか明らかにし、重力子の検出へと繋げていくことができるかどうか議論する。

        [1] M. E. Gertsenshtein, Sov. Phys. JETP, Vol.14, p.84 (1962)
        [2] Taiki Ikeda, Youka Kaku, Sugumi Kanno and Jiro Soda, Phys. Rev. D 112, 103504 (2025)

        Speaker: 大樹 池田 (九州大学)
      • 5:04 PM
        Modular Krylov complexity as a probe of quantum systems 4m

        量子状態を情報理論的な観点から理解する試みは物性物理や量子情報の双方に新たな知見をもたらしてきた。例えば量子状態のエンタングルメントを特徴づける量であるエンタングルメントエントロピーは、中心電荷やトータル量子次元といった量子相の本質的な情報をエンコードすることが知られている。しかし、エンタングルメントエントロピーはモジュラーハミルトニアンのスペクトル全体を一つの数値に縮約したものであり、そこに含まれるより詳細な情報は捨象されてしまう。従って、モジュラーハミルトニアンそのものを解析することができればエンタングルメントエントロピーを超えた情報を抽出できる可能性がある。一方、近年量子多体系のカオス性や複雑性を特徴づける指標としてクリロフ複雑度が注目されており、演算子や量子状態の時間発展がクリロフ空間上でどのように広がるかを定量化する。本研究では、この時間発展の生成子としてモジュラーハミルトニアンを採用したモジュラークリロフ複雑度を解析することで、量子系に関するどのような情報が抽出可能かを議論する。

        Speaker: 池上 草玄 (東京大学工学系研究科物理工学専攻)
      • 5:08 PM
        Stabilizer Rényi entropy of 3-uniform hypergraph states 4m

        非スタビライザー性は量子計算で中心的な役割を果たす。Gottesman-Knillの定理によりスタビライザー状態は古典コンピューターで効率的にシミュレートできるので、非スタビライザー性は古典計算を凌駕する量子計算を実行するためのリソースである。そのようなリソースを定量化する量の一つとして、スタビライザーレニーエントロピーが知られている。ハイパーグラフ状態は、グラフ状態を一般化した量子状態であり、量子優位性、測定型量子計算、トポロジカル相の研究など、多くの量子物理の領域で有用な状態である。本研究では、3一様ハイパーグラフ状態のスタビライザーレニーエントロピーを調べた。3一様ハイパーグラフ状態とは全ての量子ビットを$|+\rangle$に準備し、CCZゲートを作用することで生成される状態である。3一様ハイパーグラフ状態のスタビライザーレニーエントロピーが行列ランクを用いて表現できることを示し、$N$量子ビット系に対し$\mathcal{O}(N^3 2^{N})$の計算コストで評価できることを明らかにした。モンテカルロ法を用いれば効率的に近似評価できることも示した。これら結果を用いて、いくつかの1次元的なハイパーグラフ状態に対し、スタビライザーレニーエントロピーを解析的に評価した。また、いくつかの大規模な2次元的なハイパーグラフ状態に対してスタビライザーレニーエントロピーを数値的に調べた。これらの結果はハイパーグラフ状態が用いられている分野での非スタビライザー性の理解に貢献すると考えられる。この研究成果はarXiv:2602.23687に基づく。

        Speaker: 鏡原 大地 (中央大学)
      • 5:12 PM
        推論非対称性の情報幾何学的なアプローチ 4m

        量子力学において、測定は状態への不可逆な撹乱を引き起こす。この事実は、未来を予測するプロセス(Prediction)と、測定結果から過去の状態を推論するプロセス(Retrodiction)の間に、古典確率論には存在しない非対称性を生じさせる。我々は、この(推論)非対称性を一つのリソースとして捉え、情報幾何学的な計量や定量化を議論する。

        Speaker: Teruaki Nagasawa (Kanazawa University)
      • 5:16 PM
        非可換幾何のスペクトラル三重項を用いた量子誤り訂正符号の定式化 4m

        本発表では、量子誤り訂正を幾何学的射影として捉える観点から、非可換幾何に基づく一般的枠組みを紹介する。中心的な着想は、量子系を記述する幾何学的構造に対するスペクトル射影として符号空間を定義し、局所的自由度を除去しつつ大域的情報を保持するというものである。この立場では誤り訂正符号は幾何学的構造を保存する射影として理解され、局所誤りに対する大域的情報の保護が幾何学的に記述される。この枠組みは、可換幾何に対応する古典符号と非可換幾何に対応する量子符号とを統一的に扱うのみならず、両者の混合的状況をも包含する。その結果、量子誤り訂正、ホログラフィー、変形量子化をスペクトル幾何に基づく共通の言語のもとで理解する視点が得られる。本発表では、この統一的見方の基本構造を説明する。この発表はhttps://arxiv.org/abs/2601.19765に基づく。

        Speaker: 聡 菅野 (ソフトバンク株式会社)
      • 5:20 PM
        弱重力場上での2準位原子の自然放出現象 4m

        近年、量子制御・量子センシング技術は著しく発展してきている。それに伴い、重力波などの弱重力的影響を量子系を用いて検出しようとする試みが提案されている。そこで、我々は原子の散逸現象、特に自然放出現象に着目する。自然放出は真空状態にある量子場との結合で起こる現象である。その際、重力相互作用は万物に働く普遍的な相互作用であるため、量子場および原子に影響を与え、その結果、自然放出プロセスが変化し、特に自然放出率にその重力的影響が現れると考えられる。そのため、自然放出現象は弱重力的影響を検出できるプローブとして機能すると期待される。
        これらの背景から、本研究ではNewton弱重力場上での2準位原子の自然放出現象を開放量子系の理論に基づくアプローチで調べ、自然放出率に現れる重力補正の定式化を行う。本発表では、当日までに得られた結果について発表する。

        Speaker: Mr Kaito Kashiwagi (Kyushu university)
      • 5:28 PM
        Thermodynamic entropy as a fine-grained operational complexity 4m

        熱力学エントロピーは状態量である一方、操作的に定義される。本研究では、平衡状態間の微視的ユニタリ操作を二準位ゲートで構成し、その最小ゲート数からエントロピーを与える変分表現を導く。さらに深さ複雑性と熱力学的距離の関係を示す。

        Speaker: Rikuya Kobashi (Kyoto University)
      • 5:32 PM
        連続観測量子系における拡散型確率マスター方程式のパラメータ推定 4m

        本発表では, 次の密度行列空間 $\mathcal{D}(\mathbb{C}^d)$ 上の拡散型確率マスター方程式を扱い, パラメータ $\theta=(\alpha,\beta)\in\Theta$ に関する推定の問題を扱う:

        $$ d\rho_t^\theta = \mathcal{L}^{\theta}(\rho_t^\theta)\,dt + \mathcal{H}^{\beta}(\rho_t^\theta)\cdot d\mathbf{W}_t,\qquad 0\leq t\leq T. $$ ただし, $\Theta$ は有限次元ユークリッド空間内のコンパクトかつ内点を持つ凸集合とし, $\mathbf{W}_t$ は標準 $r$ 次元ブラウン運動, 移流項の $\mathcal{L}^\theta$ は $\mathcal{D}(\mathbb{C}^d)$ 上の Lindblad 型作用素として次で与えられる: $$ \mathcal{L}^{\theta}(\rho) = -i[H^\alpha,\rho] + \sum_{k=1}^r \left( L_k^\beta\rho (L_k^\beta)^* - \frac12\{(L_k^\beta)^*L_k^\beta,\rho\} \right),\qquad \rho\in\mathcal{D}(\mathbb{C}^d). $$ ここで, $H^\alpha$ は $d$ 次エルミート行列, $L_k^\beta$ は $d$ 次正方行列であり, 拡散項は $\rho\in\mathcal{D}(\mathbb{C}^d)$ に対して $$ \mathcal{H}^{\beta}(\rho)\cdot d\mathbf{W}_t = \sum_{k=1}^{r} \left( L_k^\beta\rho + \rho(L_k^\beta)^* - \operatorname{Tr}\!\left( L_k^\beta\rho + \rho(L_k^\beta)^* \right)\rho \right)dW_t^{(k)} $$ で定める. また, $A,B\in M_d(\mathbb{C})$ に対して, $$ [A,B] = AB-BA,\qquad \{A,B\} = AB+BA $$ とする. このとき, 観測結果として得られる $\mathbf{Y}_t$ は, $\Theta$ の内点で与えられる真値 $\theta_0$ に対して, $$ dY_t^{(k)} = \operatorname{Tr}\!\left\{ L_k^{\beta_0}\rho_t^{\theta_0} + \rho_t^{\theta_0}(L_k^{\beta_0})^* \right\}\,dt + dW_t^{(k)},\qquad k=1,\ldots,r, $$ を満たすものとし, $\theta_0$, $\rho_t^{\theta_0}$ および $\mathbf{W}_t$ は未知とする. 確率マスター方程式は, 量子フィルタリング理論やホモダイン検出などにおいて連続時間量子軌道を記述する際に現れ, ハミルトニアン $H^\alpha$ と, 外部環境や測定装置との相互作用に関わる測定作用素, あるいは結合作用素 $L_k^\beta$ を用いて, 測定結果に条件づけられた量子状態の時間発展を記述している. この際, ハミルトニアンの係数や結合強度などが未知なことがあり, 連続測定で得られる観測記録から未知パラメータを推定し, その推定精度を評価するための統計理論が必要とされる. 本発表では, 同一の実験設定の下で独立に得られた $N$ 本の量子軌道に基づいて得られる観測 $\mathbf{Y}^{(i)}$, $i=1,\dots,N$, を用いて, 未知パラメータ $\theta$ を推定する大標本理論の問題を考察する. 推定量の構成では, 観測記録ごとに確率マスター方程式を逐次的に解くのではなく, 未知パラメータの変化が観測過程のドリフトにどのように反映されるかを用いる. これにより, 観測データと平均的な量子状態の時間発展との対応を利用して, 複数の観測記録に含まれるパラメータ情報を抽出する. 主結果として, 観測時間 $T$ を固定し, 独立な量子軌道の本数 $N$ が増加する大標本における漸近理論の枠組みにおいて, 適切な正則性条件および識別可能性条件を課し, 提案する推定量が強一致性および漸近正規性をもつことを示す. 加えて, 漸近分散に対応する分散推定量を観測データから構成し, その強一致性も示す. これにより, 連続測定下の量子ダイナミクスに対して, 未知パラメータの推定だけでなく, 標準誤差を通じて推定精度を評価するための理論的基盤を得る.

        Speakers: Dr 中島 翔平 (東京理科大学), 小林 光木 (成蹊大学)
      • 5:36 PM
        一般確率論における情報熱力学 4m

        熱力学第二法則は物理学において最も確立された基本原理の一つであり、どのような理論が自然を記述しうるのかを制約する原理としても機能する可能性がある。この問題を探る枠組みとして有用なのが一般確率論である。一般確率論は、古典論や量子論だけでなく、それらを超える仮想的な理論も含め、測定結果を確率的に記述するあらゆる理論を統一的に扱う。しかし、その多くは既知の物理理論から大きく逸脱しているため、熱力学との整合性などの原理によってその許容範囲を制限することが重要となる。

        本発表では、一般確率論において、測定、フィードバック、情報消去を含む過程を包括的に扱う情報熱力学の枠組みを構築する[1]。特に、測定過程に伴うエントロピー変化に着目し、それが仕事の取り出しとどのように関係するのかを明らかにする。

        具体的には、測定過程がエントロピー非減少性を満たす限り、一般確率論においても第二法則に反する仕事の取り出しは不可能であることを示す。また、一般確率論で用いられる複数のエントロピーの定義について、測定過程がこの性質を満たすための十分条件を与える。一方で、これらの条件を一部しか満たさない測定を用いて、正の仕事が取り出せる等温サイクルを具体的に構成する。これにより、一般確率論におけるエントロピーの定義や性質の違いが、第二法則との整合性に本質的な役割を果たすことを示す。

        これらの結果は、一般確率論において測定が熱力学第二法則と整合するための条件を明らかにし、量子論の拡張として許容される理論に対して熱力学が課す制約を理解するための統一的な基盤を与える。

        [1] K. Ono, S. Umekawa, and H. Tajima, arXiv:2605.12331 (2026).

        Speaker: Koki Ono (University of Tokyo)
      • 5:40 PM
        GKLS Master Equations for Qubit Thermalization and Their Application to Quantum Otto Engines 4m

        近年盛んに研究が行われている有限時間周期の量子熱機関では,量子系を熱浴と接触させる量子熱接触過程が重要な役割を果たす.従来の研究では,詳細つり合い条件を満たす遷移率で量子系がエネルギー固有状態間を遷移するGKLS型量子マスター方程式によって量子熱接触過程が記述されてきた.しかし,詳細つり合い条件は量子熱接触過程に要請されるGibb状態保存を満たす十分条件だが,必要条件ではない.そこで,本研究では,GKLS型量子マスター方程式で記述される1量子ビット系の量子熱接触過程をGibbs状態保存が成り立つ範囲で一般化し,量子力学の確率保存則との整合性を保ったうえで,必ずしも詳細つり合い条件を満たさない量子熱接触過程を構成する.詳細つり合い条件を破る量子熱接触過程のもとでは,熱接触に伴う量子重ね合わせ状態の緩和が抑えられ,特に,熱接触の途中で量子重ね合わせ状態が一時的に生成され得ることを示す.そして,そのような量子熱接触を有限時間だけ行う量子Ottoサイクルにおいて熱効率が向上することを明らかにする.

        Speaker: Dr Kenta Koshihara (Waseda University)
      • 5:44 PM
        Quantum Computational Resources and Conformal Field Theory: Unifying Spins, Bosons, and Fermions 4m

        Characterizing a quantum system through the lens of quantum resources provides a way of understanding many-body states in terms of operational structures that are not directly captured by local observables. While quantum entanglement serves as a paradigmatic example with well-established field-theoretical foundations, recent studies have shown that quantum magic, a resource for universal quantum computation, offers distinct insights into many-body physics. In spin systems, the universal behavior of nonstabilizerness has been systematically revealed by formulating the stabilizer Rényi entropy using conformal field theory (CFT) [1]. In bosonic and fermionic systems, however, a comparable formulation for their computational resource, namely, non-Gaussianity, has been lacking due to the distinct definitions of free states.
        In this work, we introduce a unified measure, the magic Rényi entropy (MRE), to quantify computational resources in spins, bosons, and fermions, and we reveal the common universal behavior of nonstabilizerness and non-Gaussianity in critical many-body states. Specifically, we show that the universal contribution to the MRE of a critical state described by a (1+1)-dimensional CFT is determined by the Affleck-Ludwig boundary entropy [2] of the corresponding infrared boundary state. Furthermore, we elucidate how non-Gaussianity can renormalize this universal contribution or drive a boundary phase transition to a distinct infrared fixed point through the bulk-boundary operator product expansion. As a concrete demonstration, we present a detailed analysis of interacting spinless fermions described by the Tomonaga-Luttinger liquid, where we derive a perturbative correction to the universal contribution and analytically show a boundary phase transition at the Luttinger parameter $K=3$. These analytical predictions are confirmed by numerical calculations with high accuracy. Our results provide a unified field-theoretical formulation for investigating the universal signatures of many-body magic across spins, bosons, and fermions.

        [1] M. Hoshino, M. Oshikawa and Y. Ashida, Phys. Rev. X 16, 011037 (2026).
        [2] I. Affleck and A. W. W. Ludwig, Phys. Rev. Lett. 67, 161 (1991).

        Speaker: Ryota Matsuda (The University of Tokyo)
      • 5:48 PM
        重力結合鏡の猫状態モデルにおける重力誘起量子もつれのシグナル 4m

        重力の量子的性質の実験的検証は、量子重力研究における重要なテーマである。近年、その有力な手法の一つとして、物体間に生じる重力誘起エンタングルメント(gravitationally induced entanglement, GIE)が提案されている。本研究では、二体系全体のエンタングルメントを直接測定するのではなく、重力相互作用によって一方の部分系に誘起される量子状態に注目する。

        具体的には、重力相互作用する二つの量子的な鏡を考え、片方の鏡Aに猫状態を生成する模型を解析する。このとき鏡Bは、鏡Aの猫状態を構成する各状態に応じて異なる重力相互作用を受けるため、Aの猫状態に対応した重ね合わせ状態へと発展する。本研究では、この鏡Bの状態を光を用いた干渉計型の位置測定によって読み出し、鏡Aの重力に由来する量子性を評価する。さらに、測定信号の時間発展を鏡Bの purity の変化と比較することで、観測される信号が二つの鏡の間に生じる重力誘起エンタングルメントと整合的に現れることを示す。

        Speaker: takeaki murata (九州大学 大学院 理学府 物理学専攻 量子宇宙物理研究室)
    • 9:00 AM 10:00 AM
      Special invited talk: 素粒子物理の量子限界 — 有限の観測者は自然界から何を引き出せるか —(磯暁) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 9:00 AM
        素粒子物理の量子限界 — 有限の観測者は自然界から何を引き出せるか — 1h

        自然は量子力学で動いているのに、なぜ量子計算は難しいのか。
        有限の観測者が自然界から引き出せる「知」には、どのような原理的限界があるのか。
        量子情報抽出・Krylov light cone・Hamiltonian learning・Hayden–Preskill protocol を手がかりに、素粒子物理の探索から、有限の地平面に囲まれたド・ジッター宇宙まで、自然界から引き出せる量子情報の限界について考えたい。

        Speaker: Satoshi Iso (KEK / RIKEN)
    • 10:00 AM 10:30 AM
      休憩 30m 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 10:30 AM 11:10 AM
      Invited talk: Quantum information processing and correlation in holographic spacetimes(森崇人) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 10:30 AM
        Quantum information processing and correlation in holographic spacetimes 40m

        量子重力は理論物理の様々な発想の源泉となってきた。この20年ほどは、量子情報の言葉を用いて、よりそのメカニズムを理解しようとする試みが盛んになってきている。本講演では、どのように量子相関や情報処理が量子重力に新たな知見をもたらし、逆にどのような新たな仮説やインスピレーションを量子情報分野に与えているかを概観する。特に、どのようにLOCCや量子相関が幾何学的に捉えられるか、ホログラフィック宇宙における情報処理の帰結、そこから予想される量子情報分野の未解決問題について紹介する。最後に、量子重力とベル非局所性、steeringなど量子基礎・情報との接点について展望を話す。本講演は、私の近年の研究のほか、最近のまとめ(https://arxiv.org/abs/2606.30853)に基づく。

        Speaker: Takato Mori (Rikkyo University)
    • 11:10 AM 11:50 AM
      Invited talk: 多体エンタングルメントの特徴づけ(今井敏也) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 11:10 AM
        多体エンタングルメントの特徴づけ 40m

        In this talk, I will discuss three things: First, I will review the
        basic concept of bipartite and multipartite entanglement. Then I will
        consider permutationally symmetric systems and present the connection
        between bipartite and multipartite systems. Finally, I will provide
        entanglement criteria to detect U^{otimes 3}-invariant tripartite
        entangled states that are positive under partial transpositions.

        Speaker: Satoya Imai (University of Tsukuba)
    • 11:50 AM 1:20 PM
      お昼休み 1h 30m
    • 1:20 PM 2:20 PM
      Special invited talk: 量子制御の熱力学(沙川貴大) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 1:20 PM
        量子制御の熱力学 1h

        量子熱力学は、量子情報と非平衡熱力学を橋渡しする活発な研究分野を形成している。しかし量子連続測定・連続フィードバック制御のような、量子制御技術の観点から重要な状況において、量子情報と熱力学がどのように関係しているかは十分に明らかになっていなかった。本講演では、量子情報の「流れ」と熱力学の関係についての、理論と実験の研究成果を紹介する。
         まず我々は、量子情報の流れを定量化するために、QC-移動エントロピー(QC-transfer entropy)という概念を導入した[1]。QC-移動エントロピーは、古典確率過程の時系列解析などで用いられる移動エントロピーの自然な量子拡張と見なすことが出来る。我々はそれに基づいて、量子連続測定・連続フィードバックのもとでの熱力学第二法則・ゆらぎの定理の一般化を導いた。
         次に、その理論を実験的に実証することに成功した共同研究について紹介する [2]。SiVセンターの電子スピン量子ビットを用いて、反復的な量子測定と量子フィードバックを実装した。とくに、測定で得られたQC-移動エントロピーによってエントロピー生成を負にすることが可能で、それが一般化された熱力学第二法則とゆらぎの定理を満たすことを実験的に検証した。さらに、フィードバックの因果構造を反映したQC-移動エントロピーを理論・実験の両面から評価し、マルコフ型フィードバックに比べて非マルコフ型フィードバックが熱力学的な利得が大きいことを明らかにした。

        [1] T. Yada, N. Yoshioka, and T. Sagawa, Phys. Rev. Lett. 128, 170601 (2022).
        [2] T. Yada, P.-J. Stas, A. Suleymanzade, E. N. Knall, N. Yoshioka, T. Sagawa, and M. D. Lukin, Phys. Rev. X 15, 031054 (2025). *: co-first authors

        Speaker: Takahiro Sagawa (The University of Tokyo)
    • 2:20 PM 2:50 PM
      休憩 30m 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 2:50 PM 3:30 PM
      Invited talk: Stoquasticなハミルトニアンの基底エネルギー問題に対する古典(と量子)アルゴリズム(高橋惇) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 2:50 PM
        量子多体系の計算複雑性: 固有値ギャップによる量子と古典アルゴリズム 35m

        $N$個のqubitが相互作用するハミルトニアンを与えられて、それの基底エネルギーを計算する問題は一般に${\sf QMA}$完全(${\sf NP}$完全の量子版)であり非常に難しい。この計算論的困難さは例えば物性物理において種々の模型上でスピン液体状態が実現されているかを巡って長年論争が続く一因だとも言える。けれども考慮するハミルトニアンを限定すれば、それなりに簡単な問題になる場合もある。例えば、ハミルトニアンがパウリ$Z$による相互作用のみを持つ場合を考えれば、これは古典的な最適化問題なので、$\sf{QMA}$など量子的な複雑性クラスにはなれず、${\sf NP}$完全にしかならないことが知られている。

        このようなハミルトニアンの制限の中でも興味深いクラスが “stoquastic” と呼ばれる部分集合であり、これは$Z$基底で書いたときにハミルトニアンの非対角項が全て非正なハミルトニアンと定義される[1]。D-wave社のアニーリングマシンはstoquasticなハミルトニアンのみ扱っているので、当時「完全な量子ではない」と批判されたのであった。Stoquasticなハミルトニアンの基底エネルギー計算は「最大限に量子的」な${\sf QMA}$完全にはならず、${\sf StoqMA}$完全という${\sf QMA}$と${\sf NP}$の間の謎のクラスになり、しかもlocalなハミルトニアンの計算複雑性はこの三種類のクラスに限られることが証明されている[2]。${\sf NP}$は既に計算困難なクラスなので、${\sf StoqMA}$完全な場合も一般には難しい。けれども、自然に登場するstoquasticなハミルトニアンに関しては、その基底状態などを計算する量子/古典アルゴリズムがあるのか否かについて近年盛んに研究されるようになっている[3]。

        本講演では,計算物理の現場で言われる「量子モンテカルロ法(QMC)を用いれば一部のstoquasticなハミルトニアンは素早くシミュレートできる」[4]という経験則を厳密に多項式時間緩和という定式化によって証明した最近の成果[5,6]を解説する。また、時間があればLee-Yangの定理を用いることで量子コンピュータ(アニーリングマシン)によって効率的に解けると新たに証明できたハミルトニアンのクラス[7]についても解説する。
        これらの証明は全て、巨大な行列の固有値にギャップが開いていることを示している、という共通点がある。Haldane予想が半世紀近くに渡って未解決であることを踏まえると分かるように、このようなギャップの証明は通常、非常に困難である。QMCの多項式時間証明ではJerrumとSinclairがGödel賞を獲ったcanonical pathという証明手法、量子断熱アルゴリズムの証明ではLee-Yangの定理の(Asano, Suzuki-Fisherによる)量子拡張定理を用いることでそのようなギャップ証明が可能になる概略を説明する。

        参考文献
        [1] S. Bravyi, A. J. Bessen, and B. M. Terhal, arXiv:quant-ph/0611021 (2006).
        [2] T. Cubitt and A. Montanaro, SIAM J. Comput. 45, 268 (2016).
        [3] S. Piddock and A. Montanaro, Quan Inf Comput 17:636 (2016); K. Marwaha and J. Sud, arXiv:2604.13026; S. Gharibian, ACM SIGACT News 54, 54 (2024). Open question 3.4
        [4] For example: B. Zhao, J. Takahashi, & A. W. Sandvik, PRL 125 (25), 257204 (2020) など
        [5] J. Takahashi, S. Slezak, & E. Crosson, arXiv:2411.01452, Talk at QIP 2025.
        [6] C. Rayudu and J. Takahashi, arXiv:2509.21683.
        [7] C. Rayudu and J. Takahashi, arXiv:2607.10765.

        Speaker: Jun Takahashi (ISSP, University of Tokyo)
    • 3:30 PM 4:10 PM
      Invited talk: Spectral Small-Incremental-Entangling Theorem(桑原知剛) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 3:30 PM
        Spectral Small-Incremental-Entangling Theorem 40m

        量子多体系において、エンタングルメントがどのような速度と構造で生成されるのかを理解することは、量子ダイナミクス、量子シミュレーション、量子計算複雑性を結びつける中心的課題である。従来の Small-Incremental-Entangling (SIE) 定理はエンタングルメントエントロピーの成長率を制限するが、エンタングルメントスペクトルそのものの構造については情報を与えない。本講演では、演算子がシュミット係数分布をどれだけ変化させるかを定量化する新しい指標 spectral-entangling strength を導入し、これを用いて Spectral Small-Incremental-Entangling (Spectral SIE) 定理を確立する。具体的には、Rényi 指数 α ≥ 1/2 に対して Rényi エンタングルメントエントロピーの成長率が普遍的に上界づけられることを示す。また α = 1/2 が臨界的な閾値であり、この場合に得られる評価は定性的・定量的の両面で最適であることを証明する。一方で α < 1/2 では一般的な成長速度制限が存在しないことも示す。

        これらの結果から、シュミット係数の尾部が本質的に 1/s² の減衰則に従うことが導かれ、エンタングルメントスペクトルの構造と量子状態の計算複雑性との間に定量的な関係が得られる。さらに、この枠組みを用いることで、シュミットランク切断誤差の厳密評価や、一般的なエンタングルメント面積則の導出が可能となる。最後に応用として、一次元長距離相互作用系に対するテンソルネットワーク近似の計算量評価や、時間依存 DMRG などの数値シミュレーション手法に対する厳密な誤差保証について紹介する。

        Speaker: Tomotaka Kuwahara (RIKEN)
    • 4:10 PM 4:40 PM
      コーヒーブレイク 30m
    • 4:40 PM 5:40 PM
      Open problem: オープンプロブレムセッション 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 5:40 PM 6:00 PM
      Free discussion 20m
    • 9:00 AM 10:00 AM
      Special invited talk: 超伝導回路が拓くハイブリッド量子技術(野口篤史) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 9:00 AM
        超伝導回路が拓くハイブリッド量子技術 40m

        超伝導量子回路を用いた量子コンピュータの研究が盛んにおこなわれている。100量子ビットを超える集積が実現され、99%を大きく超える精度での量子制御も可能となってきた。一方で、誤り耐性量子コンピュータの実現に向けては、回路表面や超伝導回路内部に存在する二準位系(TLS)の揺らぎが大きな課題となっている。TLSは超伝導量子回路の性能のばらつきやコヒーレンス時間の制限を引き起こす要因であり、その理解と制御が重要な研究テーマとなっている。本講演では、こうした課題の解決に向けた取り組みを紹介する。
        さらに、超伝導回路は量子ビットとしてだけでなく、高Q共振器や超低雑音増幅器、高感度センサーなどの優れた量子デバイスとしても利用できる。これらの特長を生かすことで、イオントラップや電子トラップなど異なる量子系とのハイブリッド化が進みつつあり、それぞれの量子系の長所を組み合わせた新しい量子技術の実現が期待されている。本講演では、超伝導技術を用いたイオントラップや極低温電子トラップの研究を例に、超伝導回路が量子コンピュータの枠を超えて拓くハイブリッド量子技術の可能性について議論する。

        Speaker: Atsushi Noguchi
    • 10:00 AM 10:30 AM
      休憩 30m
    • 10:30 AM 11:10 AM
      Invited talk: 高階量子計算と因果順序(村尾美緒) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 10:30 AM
        高階量子計算と因果順序 40m

        通常の計算では、まず入力を決めて準備し、その入力に対して関数や演算を作用させることにより計算を行う。したがって、入力の準備と計算の間には、「入力 → 計算」という自然な因果順序が存在する。量子計算の保存と生成(store-and-retrieve)は、未知のオラクルとして与えられた量子計算に対して、この因果順序を逆転させることを目的とするタスクである。すなわち、入力状態をあらかじめ指定せずに量子計算を実行し、その結果を量子メモリに保存しておく。その後、後から決めた入力状態と、量子メモリに保存された量子状態を用いて、保存された計算の具体的な内容に依存しない操作のみによって、その入力に対する計算結果を再現する。このような手順により、通常は「入力 → 計算」の順に行われる処理を、実質的に「計算 → 入力」の順に実行することが可能となる。

        もちろん、このような因果順序の逆転を実現するためには、何らかの追加リソースとタスクの緩和が必要となる。我々は、入力を指定しない量子計算(未知のオラクル)を複数回実行できる設定を考察し、対象となる計算がアイソメトリ演算であり、かつ近似的な再現を許す場合について、因果順序の逆転に必要なリソースを計算のクエリ回数として評価した。その結果、ユニタリ演算の場合とは異なり、アイソメトリ演算の場合には、量子計算をアイソメトリ推定によって推定して古典メモリに保存し、その後に読み出す方法よりも、より少ないクエリ回数で因果順序の逆転を実現できることを示した。

        さらに、量子計算の保存と生成の考え方は、高階量子計算にも拡張することができる。高階量子計算とは、量子演算を別の量子演算、あるいは量子演算の関数へと変換する量子計算である。この観点から見ると、高階量子計算は、介入を伴う量子演算として捉えることができる。したがって、高階量子計算を量子状態へ保存し、後から再生することは、量子過程に対する遡及的な介入を実現することに対応する。そこで、確率的に成功する高階量子計算の保存と生成のタスクを考察し、その成功確率を導出することで、量子計算における遡及的介入に伴う因果順序の逆転のコストを解析した。

        Speaker: Prof. 美緒 村尾 (東京大学)
    • 11:10 AM 11:50 AM
      Invited talk: 量子カオスにおけるスクランブリング・誤り訂正・熱平衡化(中田芳史) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 11:10 AM
        量子カオスにおけるスクランブリング・誤り訂正・熱平衡化 40m

        量子カオス系の時間発展はスクランブリングを引き起こし、局所的な量子情報を非局所な自由度へと埋め込むと考えられている。この現象は、量子誤り訂正や閉じた系の熱平衡化と深く関係すると期待されてきたが、その定量的な理解は十分ではなかった。

        本発表では、量子情報理論の手法を用いて、スクランブリングが量子情報をどのように符号化し、局所系をどのように熱的に見せるのかを解析する。特に、ハミルトニアンのスペクトルが、誤り訂正の符号化性能と、熱平衡化して見える部分系の大きさを制限することを示す。カオス性の強いハミルトニアンでは、この制限は長時間で小さくなり、最適な符号化やマクロな部分系の熱平衡化が可能になる。一方、局所的な構造をもつハミルトニアンでは、長時間後にもスペクトルの影響が残り、これらの性能が本質的に制限される。

        本研究は、スクランブリングをハミルトニアンのエネルギースペクトルに制約された符号化過程として捉えることで、量子カオス、量子誤り訂正、熱平衡化の関係を定量化するものである。

        Speaker: Yoshifumi Nakata (Institute of Science Tokyo)
    • 11:50 AM 1:20 PM
      お昼休み 1h 30m
    • 1:20 PM 2:20 PM
      Special invited talk: 量子コンピュータのスケール性と量子機械学習(根本香絵) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 1:20 PM
        量子コンピュータのスケール性と量子機械学習 1h

        2019年以降、量子コンピュータの実装は大きく発展し、現在フォールトトレラント量子コンピュータの実現へ向けて世界的に研究開発がなされている。その中で量子コンピュータのスケール性に関する概念は基礎科学から実証へと移行しつつある。量子コンピュータのスケール性は量子コンピュータアーキテクチャを通して、初めて科学的に定量的に議論することができる。量子コンピュータのスケール性を量子機械学習の観点から多角的に議論する。

        Speaker: Prof. Kae Nemoto (OIST)
    • 2:20 PM 2:50 PM
      コーヒーブレイク 30m 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
    • 2:50 PM 3:30 PM
      Invited talk: LHC-ATLAS実験での世界最高エネルギーを用いたベル不等式の検証可能性について(田窪洋介) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 2:50 PM
        LHC-ATLAS実験での世界最高エネルギーを用いたベル不等式の検証可能性について 40m

        ベル不等式は実在性と局所性を持つ2粒子系の相関の強さの上限を与える不等式である。一方、量子力学に従う2粒子系が量子もつれ状態である場合、相関はベル不等式を破るほど強い。従って、ATLAS実験の陽子・陽子衝突で生成されるB中間子対のフレーバ相関においてもベル不等式の破れが観測されると期待され、世界最高エネルギーでの検証が可能となる。

        本講演ではATLAS実験に即したベル不等式を紹介し、その測定感度についてのシミュレーションによる評価結果を報告する。さらに、ATLAS実験で進められているB中間子対のフレーバ相関を用いたベル不等式の破れの検証について、現在の状況と今後の展望を紹介する。

        Speaker: Yosuke Takubo (Niihama College)
    • 3:30 PM 4:00 PM
      ポスター: ポスター紹介② 湯川記念館 Y206, Y306

      湯川記念館 Y206, Y306

      京都大学基礎物理学研究所

    • 4:00 PM 6:55 PM
      ポスター②: ポスターセッション 湯川記念館 Y206, Y306

      湯川記念館 Y206, Y306

      京都大学基礎物理学研究所

      • 4:00 PM
        Software Development Kit for Continuous-variable Quantum Computing 4m

        We present a newly released software development kit (SDK) for continuous-variable (CV) quantum computing. This Python-based open-source SDK enables users to intuitively define CV quantum circuits, convert them into quantum control sequences for time-domain multiplexed cluster architectures, and execute them on cloud-hosted, real quantum hardware. Furthermore, the SDK features local simulators with various backend options, facilitating fast and highly optimized classical simulations of CV quantum processes.

        Speaker: 長吉 博成 (OptQC株式会社)
      • 4:04 PM
        Bell定理の再解釈 --自由選択と局所実在論が両立するモデルの提案-- 4m

        Bell-CHSH 不等式を破る相関は,一般的に自由選択を伴う局所実在論では説明できないとされる[1][2].Bell-CHSH不等式の導出には,実在論とBell-局所性だけでなく,隠れた変数と測定設定の確率的な独立性(測定独立性)が用いられる.測定独立性は,しばしば測定選択が自由に選ばれることによって正当化されるが,相間関係は必ずしも因果関係を含意しないためその正当化は自明ではない.
          本研究では,測定選択が隠れた変数に局所的な影響を与えることを考えることで,自由選択性を許容した局所実在論の枠組みでもBell―CHSH不等式を最大に破ることを示す[4].さらに我々のモデルとBell-CHSH不等式を最大に破りうるNo-signaling 多面体との関連も説明する [5][6].
         また我々と同様に,自由選択を伴う局所実在論モデルの主張を正当化するKupczynskiのモデルと我々のモデルの違いを明らかにし,彼のモデルはBell-CHSH不等式を満たすことも示す[4][6].

        [1] J. S. Bell, Speakable and Unspeakable in Quantum Mechanics. Cambridge University Press, (1987).
        [2] M. Wayne, M. Genovese and A. Shimony, "Bell’s Theorem", The Stanford Encyclopedia of Philosophy (Spring 2024 Edition), E. N. Zalta, and U. Nodelman (eds.)
        [3] L. Accardi and M. Regoli, arXiv:quant-ph/0110086 (and references thein).
        [4] G. Kimura, A. Mayumi and K. Nakatsuka (in preparation).
        [5] J. Barrett et al, Phys. Rev. A 71, 022101 (2005).
        [6] M. Kupczynski, Front. Phys. 8, (2020).
        [7] R. D. Gill and P. J. Lambare, Front. Phys. 10, (2022).

        Speaker: Aina Mayumi (Shibaura Institute of Technology)
      • 4:08 PM
        Uniqueness of resource for transformation from computationally universal to strictly universal quantum computation 4m

        There are two classes of universal quantum computation: strict and computational universalities. The former is sufficient to generate any unitary matrix, while the latter can generate any probability distribution but not all unitary matrices. An example of a strictly universal gate set is $\{H, \Lambda(S)\}$, and an example of a computationally universal one is $\{H, CCZ\}$. Since $\{H, CCZ\}$ consists of only real components, it cannot generate unitary matrices containing imaginary numbers. Recently, Takeuchi [PRL 133, 050601 (2024)] showed that $\{H, CCZ\}$ can be transformed into $\{H, \Lambda(S)\}$ by using $|+i\rangle$, an eigenstate of the Pauli-$Y$ matrix. This implies that maximally imaginary states—the most resourceful states in the resource theory of imaginarity—are sufficient for this universality transformation. In this presentation, we show that maximally imaginary states are also necessary for the universality transformation. Furthermore, we demonstrate that unitary operators implemented with non-maximally imaginary states are strictly restricted to real orthogonal matrices. While resource states exist continuously from maximal to zero, the resource for the universality transformation exhibits a strict dichotomy: universal resource, which can be used for generating all unitaries, or zero resource, which cannot be used for implementing any imaginary components except for global phases. Finally, we investigate the circuit optimization of this transformation and present a circuit that generates $\Lambda(S)$ without using non-imaginary ancillary qubits, using fewer $CCZ$ gates than the previous work. This presentation is based on arXiv:2603.11812 and arXiv:2603.13169.

        Speaker: Dr Yasuaki Nakayama (NTT)
      • 4:12 PM
        一般確率論のエントロピーは誘導法により統一されるか? 4m

        一般確率論(General Probabilistic Theories: GPTs)は,古典論や量子論を包含する,操作主義的に一般的な確率モデルを扱う理論的枠組みである.その高い一般性から,GPTsは量子論の原理的基盤の探究や,情報処理における量子論特有の性質の解明に向けた有効な枠組みとして期待されている.
        情報理論において重要な量であるエントロピーについて,GPTsの枠組みでは,それぞれ異なる側面を捉える3種類の定義 ($S_1,S_2,S_3$) が知られている[1–3].これらはいずれも,古典モデルおよび量子モデルではシャノンエントロピーおよびフォン・ノイマンエントロピーと一致するが,一般のGPTsモデルでは互いに異なる量となる.一方,文献[4]では,情報取得の限界を一般化する手法として,任意のエントロピーから新たなエントロピーを構成する誘導エントロピー法が提案された.興味深いことに,この誘導エントロピーを用いると,二次元四角形モデルにおいて $S_1,S_2,S_3$ の間に非自明な関係が成り立つことが示されている.例えば,$S_1$ から導かれる誘導エントロピー $S'_1$ は $S_2$ と一致する.
        本研究では,これらの関係がより一般の状態空間においても成立するかを,二次元正多角形モデルを用いて検討する.その結果,正五角形モデルおよび正六角形モデルでは,$S'_1$ と $S_2$ は一般には一致しないことが示された.本発表では,この不一致が生じる幾何学的構造を明らかにし,正多角形モデルにおけるエントロピー間の関係について議論する[5].

        [1] G. Kimura, K. Nuida, H. Imai, Rep. Math. Phys. 66, 175 (2009).
        [2] H. Barnum et al., New J. Phys. 12 033024 (2010).
        [3] A. J. Short, S. Wehner, New J. Phys. 12 033023 (2010).
        [4] G. Kimura, J. Ishiguro, M. Fukui, Phys. Rev. A 94, 042113 (2016).
        [5] I. Narita, H. Arai, Y. Kuramochi, G. Kimura (in preparation).

        Speaker: Itsuki Narita (Tohoku University)
      • 4:16 PM
        A game-theoretic probability approach to loopholes in CHSH experiments 4m

        We study the CHSH inequality from an informational, timing-sensitive viewpoint using game-theoretic probability, which avoids assuming an underlying probability space. The locality loophole and the measurement-dependence (``freedom-of-choice'') loophole are reformulated as structural constraints in a sequential hidden-variable game between Scientists and Nature. We construct a loopholes-closed game with capital processes that test (i) convergence of empirical conditional frequencies to the CHSH correlations and (ii) the absence of systematic correlations between measurement settings and Nature's hidden-variable assignments, and prove that Nature cannot satisfy both simultaneously: at least one capital process must diverge. This yields an operational winning strategy for Scientists and a game-theoretic probabilistic interpretation of experimentally observed CHSH violations.

        Speaker: 尭良 野村 (大阪大学)
      • 4:20 PM
        重力量子もつれ検出に向けた条件付き状態推定とパルス測定 4m

        重力の量子性を検証する試みとして、重力相互作用によって誘起される量子もつれの検出を目的としたBMV実験などが提案されている。その実証基盤として、光学機械振動子系(オプトメカ系)を用いた量子制御が注目されている。微弱な重力相互作用に由来する量子もつれを観測するためには、超低散逸・低温環境の実現によるデコヒーレンスの抑制に加え、強い量子もつれを生み出すことは実験に有利と考えられる。その有力な手法の一つが条件付き状態推定である。これは、測定結果を用いて観測対象の状態を逐次推定し、条件付き共分散を最小化しながら状態を追跡する手法である。
        関連する先行研究[1]では、オプトメカ系において光の連続測定による条件付き状態推定を行い、運動量を標準量子限界以下までスクイーズすることで位置ゆらぎを増大させ、重力相互作用による量子相関を促進することにより、条件付き状態における量子もつれが増強されることが示されている。しかし、連続測定では測定の反作用に伴う輻射圧ノイズが連続的に作用するため、状態推定精度やスクイージング性能を制限する要因となる。
        本発表では、先行研究[1]をレビューするとともに、連続測定に基づく条件付き状態推定をパルス測定の枠組みへ拡張した理論について報告する。パルス測定では、連続的な輻射圧ノイズの影響を抑制できる一方、測定間隔中には環境との相互作用による熱揺らぎが蓄積し、共分散が増大するという課題がある。本発表では、パルス測定にって得られる条件付き量子状態に対する定式化を行い、連続測定との比較を通じて、重力量子もつれ検出に適した測定条件と、両手法の優位性およびトレードオフについて議論する予定である。
        [1] R. Fukuzumi, K. Hatakeyama, D. Miki, K. Yamamoto, Phys. Rev. Res. 8, 023039 (2026)

        Speaker: 原口 慶久 (九州大学)
      • 4:24 PM
        量子測定が誘導する時間演算子:李・筒井形式におけるガウス波束検出器 4m

        通常、量子力学において時間は外部パラメータであり、自己共役演算子ではないと考えられている。一方で、Aharonov と Bohm により提案された時間の対称演算子に代表されるように、時間を演算子として定式化しようとする研究の流れも存在する。本発表では、近年李と筒井により提案された「李・筒井形式」における引き戻し写像、およびガウス波束基底による測定モデルを用いて、量子測定が誘導する演算子として時間演算子を構成する、われわれの(概要執筆時点で)進行中の研究を紹介する。特に具体的な結果として、引き戻しによって構成される時間演算子と自由ハミルトニアンとの交換関係が正準交換関係に類似した形をとること、および当該測定状況において自由ハミルトニアンの局所表現可能性に関する李の誤差が発散することを示す。

        Speaker: Mr Naoya Ogawa (Tokyo Woman's Christian University)
      • 4:28 PM
        2次元2状態量子ウォークにおける2次元今野分布の陽な形式 4m

        2次元2状態量子ウォーク

        2002年,今野は1次元2状態量子ウォーク(1D2SQW)の弱収束定理を証明し,その極限分布の陽な形式を求めた.量子ウォークの弱収束定理とは,量子ウォーカーの時刻$t$における位置を表す確率変数を$X_t$としたとき,$X_t / t$が$t \to \infty$の極限である確率変数$V_{\mathrm{K}}$に弱収束するという定理である.この$V_{\mathrm{K}}$は以下の分布を持つ:
        $$\begin{align} P(V_{\mathrm{K}} \le u) &= \lim_{t \to \infty} P\left(\dfrac{X_t}{t} \le u\right) = \int_{-\infty}^u w(v)f_{\mathrm{K}}(v; a)\, dv, \\ f_{\mathrm{K}}(v; r) &= \dfrac{\sqrt{1 - r^2}}{\pi(1 - v^2)\sqrt{r^2 - v^2}}I_{(-r, r)}(v). \end{align}$$ 後にこの分布は**今野分布**と呼ばれるようになった.ここで,$f_{\mathrm{K}}(v; a)$は初期状態に依存しない**今野函数**と呼ばれる1変数函数で,集合$S$に対して$I_S(v)$は指示関数である.また,$w(v)$は初期状態に依存する重み函数である. 2次元量子ウォークにおける今野分布とはなにかという疑問は当時から存在したが,その陽な形式については限定的にしか分かっていなかった.本稿では2次元2状態量子ウォーク(2D2SQW)について解析した結果として,2次元今野分布が得られたので,これを報告する. 本稿で取り扱う2D2SQWの時間発展作用素$U$はヒルベルト空間$\ell^2(\mathbb{Z}^2; \mathbb{C}^2)$上のユニタリ作用素で以下で定義される: $$U := S_2C_2S_1C_1.$$ ここでシフト作用素$S_j \ (j = 1, 2)$とコイン作用素$C_j \ (j = 1, 2)$は以下である: $$S_j := \begin{bmatrix} L_j & O \\ O & L_j^* \end{bmatrix}, \qquad C_j := \begin{bmatrix} a_j & b_j \\ -b_j & a_j \end{bmatrix}.$$ ただし,$L_j$は$x_j$方向の$\ell^2(\mathbb{Z}^2; \mathbb{C})$上の左/下シフト作用素,$a_j, b_j \in [0, 1]$は$b_j = (1 - a_j^2)^{1/2}$を満たす. ## 群速限界 1D2SQWの群速度$v_{\mathrm{g}}(k)$から,**群速限界** (**maximal speed**)と呼ばれる量$v_{\mathrm{max}} := \max_{k \in [-\pi, \pi)} |v_{\mathrm{g}}(k)|$を定義する.1D2SQWの場合この$v_{\mathrm{max}}$はコイン作用素のパラメータ$a$に等しい.この$v_{\mathrm{max}}$によって,1D2SQWの漸近挙動は3種類に分類できる(表1). **表1: 1次元2状態量子ウォークの群速限界による漸近挙動** | 群速限界$v_{\mathrm{max}}$ | $V_{\mathrm{K}}$の分布 | 漸近挙動 | | :--- | :---: | :---: | | $v_{\mathrm{max}} = 0$ | $\delta_0$ | 有界領域 | | $v_{\mathrm{max}} = 1$ | $C_{+1}\delta_{+1} + C_{-1}\delta_{-1}$ | 自明な弾性運動 | | $v_{\mathrm{max}} \in (0, 1)$ | $w(v)f_{\mathrm{K}}(v; v_{\mathrm{max}})$ | 線型な広がり | ※ $\delta_a$は$\delta_a(v) = 1\, (v = a); 0\, (\text{otherwise})$で定まるデルタ測度である. 群速限界は2D2SQWに対しても以下のように定義できる: $$v_{\mathrm{max}} = \max_{j = 1, 2} \max_{k \in \mathbb{T}^2} |v_{\mathrm{g}, j}(k)|.$$ パラメータ$a, b$をコイン作用素のパラメータ$a_j, b_j \ (j = 1, 2)$を用いて,$a := a_2a_1, b := b_2b_1$と定義したとき,$v_{\mathrm{max}} = a + b$と計算できる. また,パラメータ$a, b$と群速限界$v_{\mathrm{max}} = a + b$を用いることで2D2SQWを分類できる.任意の2D2SQWは領域 $$\Delta := \{(a, b) \mid a \ge 0, \ b \ge 0, \ a + b \le 1\}$$ の点と1対1対応するが,これを $$\begin{align} \Delta_{ab = 0} &:= \{(a, b) \mid ab = 0\}, \\ \Delta_{(0, 1)} &:= \{(a, b) \mid ab \neq 0, \ a + b < 1\}, \\ \Delta_1 &:= \{(a, b) \mid ab \neq 0, \ a + b = 1\} \end{align}$$ の3つのパラメータ領域に分類する. ## 2次元今野分布 本質的である$(a, b) \in \Delta_{(0, 1)}$のパラメータ領域に限定する.3つの楕円由来の函数$F_j \ (j = 1, 2)$と$F_0$を以下で定義する: $$\begin{align} F_j(v_1, v_2) &= 1 - \dfrac{(v_1 + v_2)^2}{4a_j^2} - \dfrac{(v_1 - v_2)^2}{4b_j^2}, \\ F_0(v_1, v_2) &= \dfrac{(a_1b_2)^2 + (a_2b_1)^2}{2ab}\left[1 - \dfrac{(v_1 + v_2)^2}{4a_0^2} - \dfrac{(v_1 - v_2)^2}{4b_0^2}\right]. \end{align}$$ ここで, $$a_0^2 = \dfrac{(a_1b_2)^2 + (a_2b_1)^2}{b_1^2 + b_2^2}, \qquad b_0^2 = \dfrac{(a_1b_2)^2 + (a_2b_1)^2}{a_1^2 + a_2^2}$$ である. ### 定理1(2次元今野分布) $(a, b) \in \Delta_{(0, 1)}$とする.このとき,$X_t / t$の極限分布は以下で与えられる: $$P(V_1 \le u_1, V_2 \le u_2) = \int_{-\infty}^{u_1} \int_{-\infty}^{u_2} \{w_+(v_1, v_2)f_+(v_1, v_2) + w_-(v_1, v_2)f_-(v_1, v_2)\, dv_2dv_1.$$ ここで,函数$w_{\pm}$は初期状態に依存する重み函数で,本稿では省略する.$f_{\pm}$は初期状態に依存しない函数で以下で定義される: $$f_{\pm}(v_1, v_2) = \dfrac{F_0 \pm \sqrt{F_1F_2}}{2\pi^2(1 - v_1^2)(1 - v_2^2)\sqrt{F_1F_2}}I_{\{(v_1, v_2) \mid F_1(v_1, v_2) > 0, \ F_2(v_1, v_2) > 0\}}.$$ $\rho_{(a, b)}(v_1, v_2) := w_+(v_1, v_2)f_+(v_1, v_2) + w_-(v_1, v_2)f_-(v_1, v_2)$とする.この分布を適切に1次元に潰す極限を,任意の有界な2変数連続函数$g(v_1, v_2)$に対して,1次元分布$\rho_{a_1}(v)$の存在を用いて以下で表す: $$\lim_{b_2 \to 0} \int_{\Sigma(\hat{v})} g(v_1, v_2)\rho_{(a, b)}(v_1, v_2)\, dv_1dv_2 = \int_{-a_1}^{a_1} g(v, v)\rho_{a_1}(v)\, dv.$$ この分布が2次元今野分布と呼べる理由は以下の定理による: ### 定理2(1次元極限) $\rho_{a_1}(v)$が存在して, $$\rho_{a_1}(v) = w(v; a_1)f_{\mathrm{K}}(v; a_1)$$ が成立する.ここで,$f_{\mathrm{K}}(v; a_1)$は1次元今野函数であり,$w(v; a_1)$はその重み函数である. その他のパラメータ領域については詳述しないが,以下の表のようになる(表2) **表2: 群速限界の値による2次元2状態量子ウォークの漸近分布とその1次元極限分布との関係** | パラメータ | 群速限界 | 2D2SQWの漸近分布 | | 1次元分布 | | :--- | :---: | ---: | :---: | :--- | | $(a, b) \in \Delta_{ab = 0}$ | $\max{a, b}$ | 1DQW | | N/A | | $(a, b) \in \Delta_{(0, 1)}$ | $(0, 1)$ | $w_+f_+ + w_-f_-$ | $\xrightarrow[b \to 0]{a + b < 1}$ | $wf_{\mathrm{K}}$ | | $(a, b) \in \Delta_1$ | $1$ | $w_+f$ | $\xrightarrow[b \to 0]{a + b = 1}$ | $C_{-1}\delta_{-1} + C_{+1}\delta_{+1}$ |

        Speaker: Mr Motoki Seki (marmot.motoki@gmail.com)
      • 4:36 PM
        Information theoretic structure in Non-locally tomographic models with Euclidean Jordan algebraic composites 4m

        標準的な量子情報理論では,合成系の状態は局所系に対する測定統計により一意に決定されるという local tomography が通常仮定される.この性質の下では,局所系の状態から定まる product state は標準的なテンソル積状態として一意に記述され,合成系上の情報量もこの構造を前提として定式化される.
        一方,local tomography を満たさない non-local tomographic なモデルでは,局所系の測定統計だけでは合成系の状態を一意に識別できない.そのため,局所的には同じ product state として振る舞う状態であっても,合成系全体では異なる状態として実現される可能性がある.このことは,non-local tomographic な理論において情報量や仮説検定を考える際の本質的な問題である.
        本研究では,この問題を扱う枠組みとして,一般確率論(General Probabilistic Theories; GPTs)の中でも Euclidean Jordan algebras(EJAs)に基づくモデルを考える.EJAs は一意なスペクトル分解を備えているため,量子情報理論に現れるいくつかの情報量を代数的に拡張・定義できる.また,EJAs の合成系は一般に non-local tomographic な構造を自然に含むため,上記の問題を解析するための具体的な舞台を与える.
        このような EJAs の合成系では,局所系の状態から代数的テンソル積により定まる標準的なproduct state だけでなく,局所的な測定統計に関してはそれと同一でありながら,合成系全体の状態としては異なる非標準的な product state が存在しうる.したがって,non-local tomographyの下では,product state の差異が局所的な記述には現れず,その差異が情報量および仮説検定の振る舞いにどのように反映されるかが問題となる.
        本研究の主な結果は以下の二点である。第一に,sandwiched relative R´enyi entropy が,このような非標準的な product state に対して真に super additive な振る舞いを示すことを明らかにする.第二に,非標準的な product state の列が relative entropy の意味で漸近的に標準的なproduct state に近づく場合,そのような非標準的な product state の列に対しても,EJAs 上で仮説検定に関する Stein の補題が成立することを示す.
        本研究は,non-local tomographic なモデルの代表例である実量子論および四元数量子論に加え,通常の量子論において non-local tomographic なモデルと同等の設定を考える場合にも適用可能であり,そのような設定上で情報理論を構築するための端緒となることが期待される.
        [1] J. Faraut and A. Kor´anyi, Analysis on Symmetric Cones, Oxford Mathematical Mono-graphs, Clarendon Press, Oxford, 1994.
        [2] M. Hayashi. Quantum Information Theory: Mathematical Foundation. Graduate Textsin Physics. Springer, 2017.
        [3] M. Wilce H. Barnum. Composites and categories of euclidean jordan algebras. Quantum,4, 2016.

        Speaker: Kanta Sonoda (Graduate School of Mathematics, Nagoya University)
      • 4:40 PM
        状態制限下における同時測定不可能性の階層 4m

        複数の測定を同時かつ正確に実行できないという測定の両立不可能性(同時測定不可能性)について,近年その強さを定量的に評価する研究が進められている.代表的な指標の一つに同時測定不可能性ロバストネス (Robustness of incompatibility, 以下 RoI) がある  [1-3].これは,同時測定不可能な測定のペアにどの程度のノイズを加えると同時測定可能になるかを表す指標であり,ノイズに対する耐性として同時測定不可能性を評価するものである.
        従来の RoI は全状態空間の利用を前提とする.しかし,実際の状況では状態が限られる場合もあり,そのような制限下での評価も重要である.実際,Heinosaari らは,ノイジーな Pauli $X$ および $Z$ 測定のペアに対して,従来のRoI では特異性が現れないノイズ領域においても,同時測定不可能性の判定に必要な状態数が変化することを示し,状態制限に基づく非自明な構造の存在を指摘した [4].
        本研究では,この状態制限の観点を RoI へ導入し,新たに「状態制限下における同時測定不可能性ロバストネス (Robustness of incompatibility under state restriction)」を提案する.本指標は,制限された状態集合上での同時測定不可能性のノイズ耐性を定量化するものである.解析の結果,量子ビット系において, 従来の RoI では最も同時測定不可能性が強い測定のペアの一つである Pauli $X, Z$ 測定,すなわち相互不偏基底 (MUB) に対応するペア [3] よりも,特定の non-MUB 測定のペアの方が,状態制限下では高いノイズ耐性を示しうることを明らかにした.これにより,状態制限下で初めて現れる同時測定不可能性の非自明な階層構造を定量的に示す.

        [1] E. Haapasalo, J. Phys. A: Math. Theor. 48, 255303 (2015).
        [2] T. Heinosaari, J. Kiukas, and D. Reitzner, Phys. Rev. A 92, 022115 (2015).
        [3] S. Designolle, M. Farkas, and J. Kaniewski, New J. Phys. 21, 113053 (2019).
        [4] T. Heinosaari, T. Miyadera, and R. Takakura, Phys. Rev. A 104, 032228 (2021).

        Speaker: Takehiro Sudo (Shibaura Institute of Technology)
      • 4:44 PM
        Outcome Exclusion: Toward a Resource Theory of Rank-Deficient POVMs 4m

        POVM によって記述される量子測定は,量子状態から古典的な測定結果を得る過程である.近年,リソース理論の観点から,どのような測定が量子情報処理において有用なリソースとなるかが研究されている.例えば,適切な入力状態を選ぶことで各測定結果を確率 $1$ で得られる,すなわち測定結果を「予言」できる sharp POVM は,tuning game と呼ばれる情報処理におけるリソースとして特徴づけられている.
        本研究では,測定結果を「予言する」能力ではなく,測定結果を「排除する」能力に着目する.特に,各 POVM 要素が固有値 $0$ をもつ rank-deficient POVM を考える.このような測定では,適切な入力状態を選ぶことで,ある測定結果が決して生じないようにできる.sharp POVM がある結果を確率 $1$ で出力するとき,他のすべての結果を排除していることから,rank-deficiency は sharpness よりも弱い,より広い性質とみなせる.この排除能力を評価するため,本研究では POVM に対して定量化の族 $\epsilon_r~(r=1,\ldots,|\mathcal{X}|-1)$ を導入する.ここで,$|\mathcal{X}|$ は POVM の測定結果の個数,$r$ は同時に排除したい測定結果の個数を表す.$\epsilon_r$ は,任意の $r$ 個の測定結果をどの程度完全に排除できるかを測る量であり,$\epsilon_r$ がゼロであることは,任意に選んだ $r$ 個の測定結果をある入力状態によって同時に完全排除できることと同値である.また,$\epsilon_r$ は自明な POVM に対して最大値を取り,quantum pre-processing および bistochastic classical post-processing のもとで単調性を満たす. さらに,$\epsilon_r$ と one-shot 量子情報処理タスクである conclusive state exclusion との関係を示す.具体的には,$\epsilon_r$ がゼロである POVM を用いることで,$r$ 個の affine independent な量子状態を一回の測定で決定的に排除できる.

        Speaker: Mr Kensei Torii (Quantum Mathematical Informatics Group, Department of Mathematical Informatics, Graduate School of Informatics, Nagoya University)
      • 4:48 PM
        局所ノイズ下におけるトーリック符号の相転移 4m

        本研究では、局所的なパウリノイズを受けたトーリック符号の量子状態の忠実度を解析し、そのノイズ耐性について調べた。先行研究で提案されたグラフ状態の忠実度を古典スピン系の分配関数へ写像する手法をトーリック符号へ拡張し、モンテカルロ法を用いて忠実度や比熱などの熱力学量を評価した。その結果、脱分極ノイズ下では対応する古典スピン模型が八頂点模型と等価となり、ノイズ確率 p=0.5 において純粋状態が支配的な相から最大混合状態に対応する相への相転移が生じることを明らかにした。さらに、異方的なパウリノイズの場合についても解析を行い、忠実度と比熱の振る舞いから相転移の存在を確認した。これにより、トーリック符号のノイズ耐性を古典統計力学の相転移として理解できることを示し、量子エラー訂正符号の解析に対する新たな統計力学的アプローチを提案した。

        Speaker: 土屋 俊二 (中央大)
      • 4:52 PM
        非エルミート系から創発されるde-Sitter時空 4m

        近年、非エルミート系は、その特異なトポロジカル構造により大きな注目を集めている。このような系は、より大きな系において外部環境の効果を積分消去することで有効理論として現れる場合もあれば、外部から制御された系として実現される場合もある。 その特徴の一つは、例外点と呼ばれるパラメータ点の存在である。この点は、固有値が実数となる PT 対称領域と、固有値が複素数となる PT 破れ領域とを分ける境界である。 本講演では、PT 対称性が破れる領域において、非エルミート二準位系の量子計量を調べる。そして、この領域において量子計量が dS₂ 計量の形をとることを示す。

        Speaker: Yuta Uenaga (Kyushu University)
      • 5:00 PM
        測定の間主観性による物理量と非古典性の操作的特徴付け 4m

        現代的な量子測定理論は操作的に許される全ての測定のクラスであるPOVMに基づいて定式化される一方、伝統的には量子論は物理量の射影測定(PVM)を中心に議論される。本研究[1]では、観測者間の測定結果の一致を要求する間主観性[2]を定量的かつ一般確率論上で定義可能な形に再定式化することにより、PVMの操作的特徴付けを与えた。(i) あるPOVMがPVMであることは、その任意の粗視化が間主観的であることと同値であり、(ii)ある系が古典系であることは、測定の間主観性が任意の粗視化で保たれることと同値であることを証明し、「物理量」概念と非古典性を特徴付ける操作主義的な原理を明らかにした。さらに、状態トモグラフィーおよび状態識別タスクの観点において(完全)間主観的な測定が十分に存在することを示し、量子およびそれを超えた情報処理タスクにおける重要性を明らかにした。

        [1] S. Umekawa, K. Ono, and H. Arai, arXiv:2603.01575 (2026).
        [2] M. Ozawa, Scientific Reports 15, 36112 (2025).

        Speaker: Shun Umekawa (Department of Physics, the University of Tokyo)
      • 5:04 PM
        Information Hierarchy in Many-Body Berry Phase 4m

        Many-body topology is a central concept in modern theories of solids, and identifying effective degrees of freedom that capture it is important both fundamentally and practically. This work studies the extent to which geometric information of an interacting many-body ground state can be inferred from a finite number of local correlations. Starting from the Resta formula, (z=\langle \exp(2\pi i \hat X/L)\rangle), we view (\log z) as the cumulant generating function and establish a generic information hierarchy across cumulant orders. We show that, for an (N)-particle system, even complete knowledge of all density correlators up to order (N-1) does not, in general, uniquely determine the Berry phase (\gamma=\operatorname{Im}\log z\;(\mathrm{mod}\;2\pi)). In the thermodynamic limit, the statement becomes stronger: no finite set of local correlators suffices to determine the global holonomy. We also identify two exceptional yes-go cases in which the hierarchy is broken. First, for quasi-free models, all cumulants are determined by the particle two-point correlation function. Second, symmetry-enforced constraints can reduce the infinite cumulant sum entering (\log z) to finite information. The argument is analytic and does not rely on a specific microscopic Hamiltonian. Our results clarify a limitation of approaches based on local degrees of freedom for many-body holonomy and provide a minimal framework for distinguishing when global holonomies are encoded in local correlations and when they are not. We also comment on the possibility of analogous hierarchies in other contexts, such as the quantum marginal problem in quantum information theory and many-body scattering problems. Finally, we discuss implications for future numerical work, including machine-learning approaches to the search for topological phases.
        As a numerical illustration, we also present a DMRG calculation for a tight-binding model showing that the Berry phase can drift substantially while the density expectation values remain almost unchanged, with variations only at the level of (10^{-3}). This illustrates that the Berry phase is not determined by the local density profile alone.

        Speaker: 海 渡辺 (Independent Researcher)
      • 5:08 PM
        Reliability of asymptotic work extraction 4m

        Extracting work from quantum states is a fundamental task in quantum thermodynamics. Previous studies have primarily focused on determining the best achievable rate of work extraction, and remarkably, this characterization appeared to remain unchanged regardless of the choice of allowed processes: whether one considers the operationally motivated class of energy-conserving thermal operations, or the axiomatic class of Gibbs-preserving operations, the optimal extractable work is given by the Helmholtz free energy. Here, we challenge this perspective, showing that a more refined analysis of the asymptotic performance of work extraction reveals significant differences in the performance for the two different classes of free operations. Precisely, we focus on the trade-off between the extraction rate and its reliability, characterized by the optimal asymptotic speed at which the extraction error can be suppressed. We establish that the reliability of Gibbs-preserving operations and of thermal operations are respectively characterized by the Petz and the sandwiched Rényi relative entropies, demonstrating that the former in general strictly outperforms the latter, and providing new interpretations of several information-theoretic divergences. Our analysis reveals that operational constraints such as energy conservation impose stronger limitations on the achievable precision of quantum tasks than can be inferred from their asymptotic rates, thereby questioning the use of Gibbs-preserving operations as a mathematically convenient substitute for the physically realizable thermal processes.

        Speaker: Kaito Watanabe (University of Tokyo, RIKEN)
      • 5:12 PM
        古典 loop O($n$) 模型の相図の解析と量子誤り訂正への展望 4m

        統計物理学という枠組み、とりわけ相転移・臨界現象の研究において、O($n$) スピン模型は、その草創期から盛んに研究が行われてきた。O(n) スピン模型は、Ising (= O(1)) 模型、XY (=O(2)) 模型、Heisenberg (= O(3)) 模型など、現代物理学の根幹をなす複数のモデルを含む、重要な模型である。  
         統計物理学の発展において、もう一つの重要な模型が、loop O($n$) 模型と呼ばれるクラスの模型である。loop O($n$) 模型とは、分配関数が、定義される格子上のループ配置の重みの和として書ける模型である:

        $$ Z_{\mathrm{loop}} = \displaystyle\sum_{\mathrm{loop \, config.}} W(\mathrm{loop \, config.}). $$ loop O($n$) 模型の分配関数は、対応する O($n$) スピン模型の分配関数の変形によって得られる。この書き換えを通じて、loop O($n$) 模型は、O($n$) スピン模型におけるスピン変数の次元や温度に対応するパラメータなどを、「非物理的」な領域へと拡張することが可能であり、共形場理論 (CFT) などによる理論解析やモンテカルロ法などによる数値計算を通じ、相転移に対する理解の進展に大きく寄与してきた。最近では、Kitaev スピン模型やフラットバンドボゾン系などの量子系の解析においても loop O($n$) 模型が現れることがわかっており、古典系・量子系の垣根を越えて、相転移をより一般的に記述しうる模型としても、注目が集まっている。  loop O($n$) 模型のうち最もよく研究されてきたのは、ハニカム格子上で定義されたものである。このとき、ハニカム格子の次数が3であることから、格子上のループは互いに交差しない。この模型に対しては、理論解析により、臨界点やスケーリング次元の厳密解が求められている。しかし、例えば正方格子など、次数4以上の格子上でこの loop O($n$) 模型を考えると、ループどうしの交差について、多様なバリエーションを考えることができる。このようなループ配置の条件の差異は、全く異なる相転移をもたらすことが明らかになっており、その全貌や、交差の本質的な影響については、未解明な点が多く残っている。    本研究では、正方格子 cubic loop O($n$) 模型と呼ばれる loop O($n$) 模型について、テンソルネットワークくりこみ群を用いた数値計算を行う。系の「縮重度」を評価する量であるゲージ不変量を計算し、先行研究で言及されている2つの臨界線をより明確に確認する。またこの量を用いて、これまで行われていなかった、グローバルな性質による各相の特徴づけを行う。さらに、この結果を通じて、cubic loop O($n$) 模型の相図と、cubic スピン模型の RG フロー図との関係性についても議論する。  また、最近の研究では、量子誤り訂正符号の能力と loop O($n$) 模型の性質との間に関係があることが明らかになってきている。そこで、本研究では、今回取り扱った loop O($n$) 模型の、量子誤り訂正符号への接続についても展望を述べる。

        Speaker: Ryoma Watanabe (ISSP, the University of Tokyo)
      • 5:16 PM
        計算可能解析学からみた量子力学 4m

        量子力学では通常、位置演算子と運動量演算子が連続固有値を持つように定式化されている。一方、計算可能解析学(あるいはその公理化と見做せる逆数学)という分野では任意精度で有理数近似するプログラムと対応づけられた計算可能実数と呼ばれる高々可算個の実数達のみを考えたときに成立する定理等が調べられている。これらの状況から、位置や運動量の固有値ひいては場の理論の連続自由度等を計算可能実数やその部分クラスである多項式時間計算可能実数等に置き換えた時に量子物理学が依然として実証科学として機能するのかを調べる事は興味深く思われる。そこで本発表では計算可能解析学のうち特にスペクトル分解定理周辺の結果を紹介[1],[2]し、それを踏まえて連続固有値を計算可能実数に置き換えた場合に量子力学がどう機能するのかについて議論する。

        参考文献
        [1] M. B. Pour-El and J. I. Richards, Computability in Analysis and Physics. Springer, 1989.
        [2] R. Dillhage, Computability of the spectrum of self-adjoint operators and the computable operational calculus. Elect. Notes Theor. Comp. Sci., Vol. 202, 2008.

        Speaker: Yosuke Watanabe (名古屋大学)
      • 5:20 PM
        逐次的量子フィードバック制御の対称性とトポロジー 4m

        近年、量子系のフィードバック制御に対してトポロジカルな分類が提案されている[1]。これは、非エルミートトポロジーの理論をフィードバック制御のCPTP写像に適用したものである。しかし、一般にどのようなプロトコルのもとでどの対称性クラスが実現あるいは禁止されるかは明らかではなかった。特別な場合としては、単一の射影測定のみを用いるプロトコルでは、実現しうる対称性クラスは38種類のBL対称性クラスのうちAZ$^\dagger$と呼ばれる10種類に限られることが知られている。一方で、異なる射影測定を逐次的に行う場合や、射影測定以外のより一般的な測定を用いた場合、対称性クラスにどのような制限がつくかは未解明であった。

        トポロジカルに保護されたフィードバック制御を実現するには、測定の誤差や反作用を考慮に入れた、より一般の測定演算子を用いる場合や、異なる測定とフィードバックを逐次的に行う場合についての対称性の分類が必要である。
        本研究では、bare measurementと呼ばれる測定のクラスに対して、この問題を解決した[2]。ここで、bare measurementとはKraus演算子がすべて半正定値である測定のクラスで、同じPOVMを再現する測定の中で状態への擾乱が最小の「純粋な」測定と特徴づけられる。これは一般のPOVMに対し定まるので、例えば測定誤差がある場合を含み、射影測定よりも広いクラスである。具体的には、「異なるbare measurementをnon-adaptiveに何度も行い、逐次的にフィードバック制御を行う場合、AZ$^\dagger$以外の対称性は許されない」ことを証明した。
        本研究ではさらに、射影測定以外のbare measurementによるフィードバック制御の例として、擾乱に対して頑健な一方向輸送を生み出すChiral Maxwell's Demonについて、測定に擾乱がある場合を数値的に検証した。

        [1] M. Nakagawa and M. Ueda, Topology of Discrete Quantum Feedback Control, Phys. Rev. X \textbf{15}, 021016 (2025).
        [2] J. Wen, Z. Gong and T. Sagawa, Symmetry and Topology of Successive Quantum Feedback Control, Phys. Rev. Lett. \textbf{136}, 090802 (2026).

        Speaker: 駿軒 聞 (東京大学)
      • 5:24 PM
        An Attempt to Reorganize Multipartite Entanglement Probes 4m

        Entanglement measures are considered genuine if they yield zero for any n-party states that lack essential n-body entanglement. Numerous genuine multipartite entanglement measures have been discovered heuristically. For instance, mutual information and genuine multi-entropy are genuine and are composed of a specific selection of replica permutations and their combination. However, there is a lack of a general classification criterion for these specific choices of replica permutations and their combination. To address this issue, the presenter attempted to construct a general framework to extract the hierarchy of multipartite entanglement measures and classify known entanglement measures. (At the time of registration, this effort has not been successful.)

        Speaker: Haruki Yagi (東京大学)
      • 5:28 PM
        準備―測定モデルにおける確率差分に基づく次元検証(dimension witness)と古典・量子 2 次元系の識別 4m

        準備―測定シナリオでは、送信者が入力に応じて物理系を準備し、受信者がその系を測定することで確率データが得られる。このような枠組みにおいて、観測データだけから、通信で送られる媒介系がどの程度の次元を必要とするか、また古典系と量子系のどちらで説明されるかを調べる手法は、次元検証(dimension witness)と呼ばれ、装置の内部構造を詳しく仮定せずに媒介系の性質を調べる方法として重要である。

        本発表では、基準準備からの観測確率差分を成分にもつ行列を導入し、準備―測定シナリオにおける次元検証を考える。まず、任意次元については、共有乱数を持たない古典系が満たす必要条件を、差分行列の階数条件として導く。さらに、その小行列式に注目し、ノイズ耐性を持つ定量的な次元検証を構成する。次に、二次元系については、共有乱数を持たない古典系、共有乱数を持つ古典系、量子系を比較し、各クラスで現れる小行列式の上限の違いを通して、ノイズを含む観測データに対する識別指標としての有効性を評価する。最後に、準備状態の混合比を観測確率から読み出す問題との対応を通して、小行列式の操作的意味についても議論する。

        Speaker: Yuriko Yamamoto (Kyoto University)
      • 5:32 PM
        エキシトン分子量子ビットの計算分子設計 4m

        光の照射により分子内の電子が励起されるとエキシトンが生成する。生成したエキシトンが分子間を伝搬する過程は、光合成における光エネルギー捕集や生物発光などの自然現象において重要な過程として知られてきたが、最近はエキシトン分子量子ビットへの応用が期待されている。分子量子ビットの設計において重要な因子は、エキシトンの遷移レートを決定づけるエキシトンカップリングである。エキシトンカップリングの大きさは分子の相対配置に強く依存する。そのため、エキシトンを利用した分子量子ビットの設計において、分子間の相対配置とエキシトンカップリングの関係を明らかにすることが最も重要な課題となる。本研究では、分子間の相対配置とエキシトンカップリングの関係を解明するために、理論計算による解析を行なった。ペリレン誘導体の一種、ペリレンビスイミドのダイマーを対象とした。溶液環境で分子動力学シミュレーションを行い、ダイマーの相対配置と時間変化を求めた。そして、得られた各配置に対して量子化学計算を行い、エキシトンカップリングを求めた。

        Speaker: Yoshiteru Yonetani (量子科学技術研究開発機構)
      • 5:36 PM
        量子アルゴリズムを用いた超弦理論からの真空探索 4m

        素粒子の統一理論として見た超弦理論において、知られている問題のひとつにランドスケープ問題がある。 超弦理論から現実の宇宙を考える手法としてフラックスコンパクト化が知られているが、このようにして得られる4次元真空解は膨大な数が存在し、その全てで正でない宇宙項を持ってしまう。 観測に合う正の宇宙項をもつような真空解を実現するシナリオがいくつか提案されているが、そのような真空解が本当に存在し、どの程度の数存在するかは知られていない。 現在、数値計算により探索が行われているが、要素数が膨大なため未踏の領域が多い。 本研究は、この問題に対して量子アルゴリズムの応用を目指す。そのためにまずはランドスケープの状況を抽象・簡略化したトイモデルのもとで、真空探索を行う量子アルゴリズムを構成する。量子アルゴリズムを応用することでどの程度の計算量削減が得られるか示す。

        Speaker: Shirabe Endo (総研大/KEK)
      • 5:40 PM
        Exploiting Translational Symmetry for Quantum Computing with Squeezed Cat Qubits 4m

        スクイーズド猫符号は、猫符号と同様にノイズのバイアスをもちながら、光子損失に強い符号として注目されている。本研究では、これまで十分に使われてこなかったスクイーズド猫符号の並進対称性に着目して、自動誤り訂正プロトコルを提案する。部分系分解に基づく解析により、一方向の並進対称性のみでは符号空間を一意に指定できないにもかかわらず、提案プロトコルはスクイーズド猫符号の状態空間に訂正できることを示す。また、提案プロトコルを応用して、高フィデリティの論理操作や論理測定が実行できることを示す。

        Speaker: Tomohiro Shitara (NTT)
      • 5:44 PM
        Fault-tolerant quantum computation with polylogarithmic time and constant space overheads 4m

        A major challenge in fault-tolerant quantum computation is to reduce both the space overhead, that is, the large number of physical qubits per logical qubit, and the time overhead, that is, the long physical gate sequences needed to implement a logical gate. Minimizing these overheads is essential for the realization of scalable fault-tolerant quantum computation. Here we prove that a protocol using non-vanishing-rate quantum low-density parity-check (QLDPC) codes, combined with concatenated Steane codes, achieves constant space overhead and polylogarithmic time overhead, even when accounting for the required classical processing. This protocol offers an improvement over existing constant-space-overhead protocols. With this approach, we resolve a logical gap in the existing arguments for the threshold theorem for the constant-space-overhead protocol with QLDPC codes and complete its proof. This provides a theoretical foundation to guide the development of scalable, resource-efficient quantum computers.

        Speaker: 志郎 田宮 (東京大学大学院工学系研究科附属光量子科学研究センター)
      • 5:48 PM
        量子光学回路系における単一光子検出器を用いた台スパースフォック状態の量子状態トモグラフィーについて 4m

        量子状態トモグラフィーとは被測定量子状態を測定データから復元する手法の総称である.理論的には十分な情報量をもつ測定の族を定めさえすればよいが,実務では測定器の性能やノイズ・ドリフトの影響があるため,制限された測定のクラスを用いてより高速で頑健なトモグラフィーを提案することが重要である.本発表では量子光学回路系において,密度行列の対角非ゼロ成分数がある程度少ない台スパースなフォック状態に対し,光子数がゼロかそれ以外かのみを識別可能な単一光子検出器による測定とスパースコーディングの理論を併用したトモグラフィーの手法を紹介する.

        Speaker: Takahiro Kajisa (電気通信大学)
    • 9:00 AM 10:00 AM
      Special invited talk: 量子系の情報幾何学と情報スペクトルを巡って(長岡浩司) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 9:00 AM
        量子系の情報幾何学と情報スペクトルを巡って 1h

        講演者の出身は物理でも数学でもなく工学畑(数理工学)であるが、かなり早い時期(1980年代後半)から量子情報の分野に関わるようになった。古典確率論にもとづいた理論体系として既に成熟の域にあった数理統計学や情報理論における基本的問題設定の多くが、量子系でもほぼそのまま意味を持つことを知り、にも関わらず、問題の解についてはきわめて限定的な結果しか得られていないという状況に興味を惹かれたのであった。その際に、統計的推測や情報伝送といった新しい観点のもとで量子力学にアプローチするということ自体の意義に加えて、講演者の場合は、古典系の諸結果を背後で支えるより基礎的あるいは横断的な理論的枠組が量子系ではどういう形を取っていくのだろうか、という問題意識が研究を進める上での大きな動機付けを与えた。そのような理論的枠組の代表として情報幾何学と情報スペクトル理論がある。前者は状態(確率分布)を点とする多様体上の微分幾何学を展開し、後者は状態の増大列の成す性質を最大限の一般性のもとで論じることを目指す。それらはある意味で対極的なアプローチであり、対象に対する全く異なる視点を提供する。本講演では、これら二つの理論の概要と量子系への拡張の試み、今後の展望(これは正直言ってよく分からないのだが)などについて、主として講演者自身の関心と研究にもとづいて解説する。また、量子情報理論の発展史において、これらの理論を含む物理学の「外」からの視点とそこでの研究成果の蓄積がいかに本質的に重要であったかという点についても論じたい。

        Speaker: 浩司 長岡 (電気通信大学)
    • 10:00 AM 10:30 AM
      休憩 30m
    • 10:30 AM 11:10 AM
      Invited talk: Universal resource distillation(高木隆司) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 10:30 AM
        Universal resource distillation 40m

        Resource distillation is the process that extracts pure resource states from the given noisy states, and it is of fundamental importance in numerous quantum information processing tasks. Much work has been devoted to characterizing optimal rates of resource distillation, but these results often rely on a crucial assumption that experimenters know the input state, allowing them to tailor the protocol to the specific input. In this talk, I discuss universal resource distillation, which aims to run the resource distillation without knowledge of the input state, and present recent progress in characterizing its ultimate performance.

        Speaker: Ryuji Takagi (University of Tokyo)
    • 11:10 AM 11:50 AM
      Invited talk: Gates and Observable Estimation in Early Fault-Tolerant Quantum Computing(吉岡信行) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 11:10 AM
        Gates and Observable Estimation in Early Fault-Tolerant Quantum Computing 40m

        Recent experimental advances in quantum error correction have pushed the field beyond the break-even point, offering a credible path toward early fault-tolerant quantum computing (FTQC) with logical qubits. In this emerging regime, two challenges become central: low-cost implementation of non-Clifford logical gates and full usage of syndrome information.
        In the first part of this talk, we discuss approaches to realizing non-Clifford operations using weakly transversal gates, which provide a resource-efficient pathway compatible with near-term fault-tolerant architectures [1]. These constructions highlight how relaxed transversality conditions can circumvent traditional constraints with partial fault tolerance.
        In the second part, we turn to the problem of observable estimation, focusing on protocols that leverage syndrome information. We present recent results demonstrating a separation between classical and quantum measurement strategies in this setting, emphasizing how error-correction data can be repurposed to enhance estimation performance [2].

        References
        [1] NY et al., arXiv:2510.08290
        [2] Tsubouchi, Kwon, Jiang, NY, arXiv:2603.05145

        Speaker: Nobuyuki Yoshioka (University of Tokyo)
    • 11:50 AM 1:20 PM
      お昼休み 1h 30m
    • 1:20 PM 2:00 PM
      Invited talk: Retrodictive Uncertainty Relations(Francesco Buscemi) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 1:20 PM
        Retrodictive Uncertainty Relations 40m

        I present an entropic uncertainty relation for arbitrary quantum states and POVMs derived from a retrodictive formulation of quantum measurement. The construction assigns to each measurement outcome a canonical retrodictive state, enabling a symmetric joint probability distribution for pairs of measurements and a measure of mutual retrodictability. The resulting uncertainty bound has the standard operational meaning in terms of measurement statistics and further connects entropic uncertainty to approximate recoverability and Groenewold-Ozawa information gain. Numerical comparisons show that this retrodictive uncertainty relation can outperform standard entropic bounds for broad classes of states and measurements.

        Speaker: Francesco Buscemi (Department of Mathematical Informatics, Nagoya University)
    • 2:00 PM 2:40 PM
      Invited talk: 両立不可能性を用いた予測不可能な量子乱数生成(皆川慎太郎) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 2:00 PM
        両立不可能性を用いた予測不可能な量子乱数生成 40m

        量子測定では測定値がランダムに得られるため、その乱数生成への応用が期待されている[1]。しかし、測定される状態と相関した状態を攻撃者が所有している場合、得られた測定値を攻撃者が完全に推測できる可能性がある。

        攻撃者が測定値を完全には推測できないことを保証する方法の一つとして、測定後の状態に関する量子相関の一種である「ステアリング」を利用した方法が提案されており[2]、近年、測定値の完全な推測が不可能になるための必要十分条件が判明した[3]。

        しかし、どのような測定であれば測定値の推測が不可能になるのかについては、完全な特徴付けが未解明であった。本発表では、攻撃者による測定値の推測不可能性が保証される測定を、ある種の「両立不可能性(複数の測定が一つの測定で同時に実現できないという性質)」の観点から特徴づける。次に、ある測定の組が与えられたときに、攻撃者の推測成功確率を最小化する問題を議論する。最後に、あるレベルの推測成功確率を達成するために必要な両立不可能性の量を定量的に見積もる問題を議論し、量子乱数と両立不可能性の定量的な接続を試みる。

        本発表は[4]に基づく。

        <参考文献>
        [1] M. Herrero-Collantes and J. C. Garcia-Escartin, Rev. Mod. Phys. 89, 015004 (2017).
        [2] E. Passaro, D. Cavalcanti, P. Skrzypczyk, and A. Acín, New Journal of Physics 17, 113010 (2015).
        [3] Y. Li, Y. Xiang, J. Tura, and Q. He, Phys. Rev. Lett. 135, 060201 (2025).
        [4] S. Minagawa and R. Kunjwal, arXiv:2603.12024 (2026).

        Speaker: Dr Shintaro Minagawa (Aix-Marseille University)
    • 2:40 PM 3:10 PM
      コーヒーブレイク 30m
    • 3:10 PM 3:50 PM
      Invited talk: 開放量子系における緩和時間の普遍則 — 完全正値性、k-正値性の物理(木村元) 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町
      • 3:10 PM
        開放量子系における緩和時間の普遍則 --- 完全正値性, k-正値性の物理 40m

        量子マルコフ過程は,量子光学,量子情報,量子測定,非平衡統計力学など,さまざまな分野で重要な役割を果たしている.とくに,完全正値性を取り入れた量子マルコフ過程のマスター方程式の標準形が,1976年に Gorini-Kossakowski-Sudarshan および Lindblad によって確立されたことはよく知られている.この方程式は Lindblad 方程式,あるいは近年では,より公平に,GKLS 方程式,または GKSL 方程式と呼ばれている.

        時間発展写像の性質である完全正値性は,開放量子系の理論だけでなく,量子情報科学においても広く受け入れられている.完全正値性を課す理由の一つは,対象とする系を,環境を含むより大きな複合系の一部とみなし,その全体系の状態が時間発展のもとで常に正であり続けるべきである,という自然な考え方にある.しかし,この要請の妥当性,とりわけそれが普遍的に成り立つのかは,詳しく見ると必ずしも自明ではない.例えば,対象系と環境系を合わせた全体系を孤立系とみなし,そこにシュレーディンガー方程式を仮定したうえで,環境系を縮約して対象系のダイナミクスを導くという通常の縮約力学の立場では完全正値性が直接証明できると考えられているが,初期相関の問題を考慮すると,対象系の時間発展に必ずしも成立しないと論じられることもある.

        このような問題意識から,我々は以前より,完全正値性が緩和時間に課す普遍的な制約を研究してきた.その目的は,完全正値性を直接的に実験検証するための一つの道筋を与えることである [1,2,3,4,5].最近,我々は,この種の緩和時間に対するタイトで普遍的な法則を証明した [1,3,6].さらに,完全正値性を $2$-正値性,$k$-正値性,および Schwarz クラスに置き換えた場合へと解析を拡張することにも成功した [7,8,9].興味深いことに,$k$-正値性から得られるタイトな制約は,完全正値性から得られる制約と一致する一方で,Schwarz クラスだけは異なる制約を与えることが分かった.

        本講演では,これらの最近の結果を紹介する.

        [1] G. K., Phys. Rev. A 66, 062113 (2002).
        [2] G. K., S. Ajisaka, K. Watanabe, Open Syst. Inform. Dynam. 24(4), 1-8 (2017).
        [3] D. Chruściński, G. K., A. Kossakowski, Y. Shishido, Phys. Rev. Lett. 127, 050401 (2021).
        [4] D. Chruściński, R. Fujii, G. K., H. Ohno, Linear Algebra Appl. 630, 293-305 (2021).
        [5] D. Chruściński, G. K., F. Muratore-Ginanneschi, J. Phys. A: Math. Theor. 57, 185302 (2024).
        [6] P. Muratore-Ginanneschi, G. K., D. Chruściński, J. Phys. A: Math. Theor. 58, 045306 (2025).
        [7] D. Chruściński, F. vom Ende, G. K., P. Muratore-Ginanneschi, Rep. Prog. Phys. 88, 097602 (2025).
        [8] F. vom Ende, D. Chruściński, G. K., P. Muratore-Ginanneschi, Linear Algebra Appl. 730, 262 (2026).
        [9] P. Muratore-Ginanneschi, G. K., F. vom Ende, D. Chruściński, arXiv:2510.19657. To appear in Proceedings of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences.

        Speaker: Prof. Gen Kimura (Tohoku University)
    • 3:50 PM 4:10 PM
      閉会 20m 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

      京都大学基礎物理学研究所

      京都市左京区北白川追分町