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開放量子系におけるエンタングルメントのダイナミクスを理解することは、堅牢な量子情報処理の実現に向けて重要である。空間相関を持つ環境ノイズの影響は 2 体エンタングルメントについては広く研究されているものの [1]、真の多体エンタングルメントに対する影響は、SLOCCに基づくもつれクラスの分類や解析の複雑さゆえに、十分には解明されていない [2]。
そこで本研究では、空間相関を有する純位相緩和ノイズを伴う 3 量子ビット系のエンタングルメントダイナミクスを理論的に解析した。具体的には、3 次元ボゾン環境と結合する 3 量子ビットを一辺が$R$の正三角形の頂点に配置し、量子ビット間距離$R$に依存した環境の空間相関を取り込んだモデルを構築した。このモデルにおいて、注目系の状態$\rho_S(t)$の時間発展はGKLS型のマスター方程式[3,4]で記述され、マルコフ性を判定する緩和率は、単一量子ビット由来の散逸モードと、環境相関由来の散逸モードの線型結合として表される。本研究では$\rho_S(t)$の3体エンタングルメントの定量化にエンタングルメントの相対エントロピー(REE)を用い、その時間発展を解析した。その結果、GHZ状態およびW状態を初期状態とした場合には、 $R$に対するREEの振る舞いは対照的でありながら、緩和率が負となる非マルコフな時間領域において、両状態のREEがリバイバルすることが示された。一方、GHZ状態と局所ユニタリ同値だが量子相関の対称性が異なる状態においては、REEの$R$依存性がGHZ状態の場合と逆転し、非マルコフ性とREEリバイバルの対応関係も崩れることが確認された。
以上の結果は、真の多体エンタングルメントの開放系ダイナミクスがSLOCCクラスのみでは特徴づけられず、状態の対称性と環境相関との関係に本質的に依存することを示唆するものである。
[1] S. McEndoo et al., EPL, 101, 60005 (2013).
[2] C. Radhakrishnan et al., EPL, 146, 38001 (2024).
[3] V. Gorini, A. Kossakowski, and E. C. G. Sudarshan, J. Math. Phys. 17, 821 (1976).
[4] G. Lindblad, Commun. Math. Phys. 48, 119 (1976).