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測定結果の確率分布から量子状態を一意に決定する方法は,量子状態トモグラフィーと呼ばれる.特に,単一のPOVM測定の測定結果から量子状態を決定できるとき,そのPOVMは情報完全であるという.$D$ 準位量子系において,一般の混合状態に対する情報完全POVMには,自由度の観点から少なくとも$D^2$ 個の要素が必要である.一方,対象を純粋状態に制限すると,状態の自由度が減少するため,より少ない測定結果数で情報完全性が実現できると期待される.そこで本発表では,純粋状態に対する情報完全POVMの最小測定要素数について議論する.
$D$ 準位量子系における純粋状態を記述するには,規格化条件と位相の不定性を考慮すると,$2D-2$ 個の実パラメータが必要である.したがって,素朴には,純粋状態に対する情報完全性を持つためには,確率の規格化条件を考慮して,少なくとも$2D-1$ 個の測定結果が必要であると考えられる.しかし,$2005$ 年にFlammia,Silberfarb,Cavesは,$2D-1$ 個の測定結果では情報完全性を達成できないことを示し,さらに$2D$ 個の要素からなる純粋状態情報完全POVMが存在することを示した [1].
本ポスターでは,Flammiaらの結果をレビューするとともに,その証明の改善を行う.特に,qubit系($D=2$ )の場合にはBlochベクトル表現を用いることで,彼らの結果に対するより簡潔な幾何学的証明を与える.また,qutrit系($D=3$ )に着目し,$6\,(=2D)$ 要素の純粋状態情報完全POVMの特徴づけ,および,$5\,(=2D-1)$ 要素POVM測定の測定結果と整合的な純粋状態の個数の特定について議論する.
[1] Steven T. Flammia, Andrew Silberfarb and Carlton M. Caves, Foundations of Physics, Vol. 35, pp. 1985--2006 (2005).