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量子力学における不確定性関係は,通常,複数の非可換な物理量の不確定性のトレードオフとして理解される.これに対し本研究では,既知の量子状態に基づいて単一物理量の分散を古典的成分と非古典的成分に分解し,その非古典的成分に対する単一物理量の状態準備型不確定性関係を定式化する[1,2].
具体的には,まず,状態 $\rho$ と可換な測定で得られる古典的情報を用いた推定の枠組みを導入し,その情報から説明・推定できる分散を取り除くことで,非可換性に由来する不確定性の成分を操作的に特徴づける.次に,有限次元量子系の状態 $\rho$ と物理量 $A$ に対し,この非古典的成分を $[A,\rho^s]\,(\frac{1}{2}\leq s)$,および Wigner--Yanase--Dyson 歪情報量によって下から評価する.このとき係数は固定された状態 $\rho$ の固有値,特に最小固有値と最大固有値のみによって決まり,任意の物理量 $A$ に対して最適な形で成り立つ単一物理量の不確定性関係として与えられる.したがって本結果は,従来の Wigner--Yanase 歪情報量による分散下限を状態依存的に改善するだけでなく,非古典的成分の起源が状態と物理量の非可換性,あるいは物理量に関する状態のコヒーレンスにあることを示す.特に qubit 系では,本関係は不等式ではなく恒等式となり,分散が古典的寄与と非可換的寄与へ完全に分解される.
さらに,本研究ではこの非古典的な不確定性のみから,Robertson 型関係[3],および我々の先行研究で得られたRobertson 型関係の状態依存な一般化[4]が導かれることを示す.これは,従来の不確定性関係の下限が分散そのものではなく,不確定性のうち状態と物理量の非可換性に依存する部分に由来することを意味する.
[1]Haruki Yamashita, Aina Mayumi, Gen Kimura, arXiv preprint arXiv:2605.26331[quant-ph] (2026).
[2]Haruki Yamashita, Gen Kimura, in preparation.
[3]H. P. Robertson, Physical Review 34, 163 (1929).
[4]Gen Kimura, Aina Mayumi, Haruki Yamashita, arXiv preprint arXiv:2505.19861[quant-ph] (2025).