Aug 3 – 7, 2026
京都大学基礎物理学研究所
Asia/Tokyo timezone

古典 loop O($n$) 模型の相図の解析と量子誤り訂正への展望

Not scheduled
20m
湯川記念館 Y206, Y306 (京都大学基礎物理学研究所)

湯川記念館 Y206, Y306

京都大学基礎物理学研究所

ポスター ポスター②

Speaker

Ryoma Watanabe (ISSP, the University of Tokyo)

Description

統計物理学という枠組み、とりわけ相転移・臨界現象の研究において、O($n$) スピン模型は、その草創期から盛んに研究が行われてきた。O(n) スピン模型は、Ising (= O(1)) 模型、XY (=O(2)) 模型、Heisenberg (= O(3)) 模型など、現代物理学の根幹をなす複数のモデルを含む、重要な模型である。  
 統計物理学の発展において、もう一つの重要な模型が、loop O($n$) 模型と呼ばれるクラスの模型である。loop O($n$) 模型とは、分配関数が、定義される格子上のループ配置の重みの和として書ける模型である:

$$ Z_{\mathrm{loop}} = \displaystyle\sum_{\mathrm{loop \, config.}} W(\mathrm{loop \, config.}). $$ loop O($n$) 模型の分配関数は、対応する O($n$) スピン模型の分配関数の変形によって得られる。この書き換えを通じて、loop O($n$) 模型は、O($n$) スピン模型におけるスピン変数の次元や温度に対応するパラメータなどを、「非物理的」な領域へと拡張することが可能であり、共形場理論 (CFT) などによる理論解析やモンテカルロ法などによる数値計算を通じ、相転移に対する理解の進展に大きく寄与してきた。最近では、Kitaev スピン模型やフラットバンドボゾン系などの量子系の解析においても loop O($n$) 模型が現れることがわかっており、古典系・量子系の垣根を越えて、相転移をより一般的に記述しうる模型としても、注目が集まっている。  loop O($n$) 模型のうち最もよく研究されてきたのは、ハニカム格子上で定義されたものである。このとき、ハニカム格子の次数が3であることから、格子上のループは互いに交差しない。この模型に対しては、理論解析により、臨界点やスケーリング次元の厳密解が求められている。しかし、例えば正方格子など、次数4以上の格子上でこの loop O($n$) 模型を考えると、ループどうしの交差について、多様なバリエーションを考えることができる。このようなループ配置の条件の差異は、全く異なる相転移をもたらすことが明らかになっており、その全貌や、交差の本質的な影響については、未解明な点が多く残っている。    本研究では、正方格子 cubic loop O($n$) 模型と呼ばれる loop O($n$) 模型について、テンソルネットワークくりこみ群を用いた数値計算を行う。系の「縮重度」を評価する量であるゲージ不変量を計算し、先行研究で言及されている2つの臨界線をより明確に確認する。またこの量を用いて、これまで行われていなかった、グローバルな性質による各相の特徴づけを行う。さらに、この結果を通じて、cubic loop O($n$) 模型の相図と、cubic スピン模型の RG フロー図との関係性についても議論する。  また、最近の研究では、量子誤り訂正符号の能力と loop O($n$) 模型の性質との間に関係があることが明らかになってきている。そこで、本研究では、今回取り扱った loop O($n$) 模型の、量子誤り訂正符号への接続についても展望を述べる。

Author

Ryoma Watanabe (ISSP, the University of Tokyo)

Co-authors

Jun Takahashi (ISSP, University of Tokyo) Satoshi Morita (Keio University) Naoki Kawashima (ISSP, the University of Tokyo)

Presentation materials

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