Aug 3 – 7, 2026
京都大学基礎物理学研究所
Asia/Tokyo timezone

Spectral Small-Incremental-Entangling Theorem

Aug 5, 2026, 3:30 PM
40m
湯川記念館 パナソニック国際交流ホール (京都大学基礎物理学研究所)

湯川記念館 パナソニック国際交流ホール

京都大学基礎物理学研究所

京都市左京区北白川追分町
Invited talk Invited talk

Speaker

Tomotaka Kuwahara (RIKEN)

Description

量子多体系において、エンタングルメントがどのような速度と構造で生成されるのかを理解することは、量子ダイナミクス、量子シミュレーション、量子計算複雑性を結びつける中心的課題である。従来の Small-Incremental-Entangling (SIE) 定理はエンタングルメントエントロピーの成長率を制限するが、エンタングルメントスペクトルそのものの構造については情報を与えない。本講演では、演算子がシュミット係数分布をどれだけ変化させるかを定量化する新しい指標 spectral-entangling strength を導入し、これを用いて Spectral Small-Incremental-Entangling (Spectral SIE) 定理を確立する。具体的には、Rényi 指数 α ≥ 1/2 に対して Rényi エンタングルメントエントロピーの成長率が普遍的に上界づけられることを示す。また α = 1/2 が臨界的な閾値であり、この場合に得られる評価は定性的・定量的の両面で最適であることを証明する。一方で α < 1/2 では一般的な成長速度制限が存在しないことも示す。

これらの結果から、シュミット係数の尾部が本質的に 1/s² の減衰則に従うことが導かれ、エンタングルメントスペクトルの構造と量子状態の計算複雑性との間に定量的な関係が得られる。さらに、この枠組みを用いることで、シュミットランク切断誤差の厳密評価や、一般的なエンタングルメント面積則の導出が可能となる。最後に応用として、一次元長距離相互作用系に対するテンソルネットワーク近似の計算量評価や、時間依存 DMRG などの数値シミュレーション手法に対する厳密な誤差保証について紹介する。

Author

Tomotaka Kuwahara (RIKEN)

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