Speaker
Kazuaki Takasan
(The University of Tokyo)
Description
現代の物質科学は、主として平衡状態、及びその近傍にある物質の理解を基盤として発展してきた。一方、近年の実験技術の進展により、非平衡状態にある物質を実現し、その振る舞いを観測・制御することが可能になりつつある。非平衡状態は、自由エネルギーの最小化などのルールに縛られず、平衡系では到達困難、あるいは実現不可能な秩序や機能を生み出しうる。その意味で、非平衡物質相は、従来考えられてきた物質の限界を超える可能性を秘めている。
私はこれまで、こうした非平衡物質相の理解と制御を目指して研究を進めてきた。本講演では、その一例として、生物の群れなどのモデルで知られるアクティブマターを量子多体系へ拡張した「量子アクティブマター」に関する研究を紹介する[1,2]。
さらに最近では、物質相という概念を量子論の枠外へと拡張する可能性を探るため、一般確率論にもとづくポスト量子系の研究にも取り組んでいる[3]。現段階では2体系の解析にとどまり、直ちに「物質」と呼べる段階には至っていないが、本講演では、現時点で得られた結果を概観するとともに、その先にどのような多体系や物質相の物理が展望できるのかについて議論する。
[1] K. Adachi, KT, and K. Kawaguchi, Phys. Rev. Research 4, 013194 (2022)
[2] KT, K. Adachi, and K. Kawaguchi, Phys. Rev. Research 6, 023096 (2024)
[3] S. Umekawa, A. Hokkyo, H. Arai, and KT, in preparation.
Author
Kazuaki Takasan
(The University of Tokyo)