Speaker
Tadashi Takayanagi
(Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University)
Description
量子情報の考え方は、量子多体系のミクロな構造と重力時空の幾何学とを直接結びつける基本的な枠組みをもたらす。例えば、ホログラフィー原理(AdS/CFT対応など)において、場の量子論のエンタングルメントエントロピーは、重力理論の時空の極小曲面の面積から計算できる。これは、ブラックホールのエントロピーを一般化するもので、重力時空自体が何らかの量子計算機のような機能を持っている可能性を示唆している。最近では、このようなエントロピーと重力理論の対応はさらに大きく発展しており、ブラックホールの情報問題の解明、膨張宇宙やワームホール時空におけるホログラフィー原理の可能性にまで広がってきている。本講演では、このようなテーマについて基礎的な考え方から始めて、最新の知見まで概説したい。
Primary author
Tadashi Takayanagi
(Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University)