Speaker
Yoshifumi Nakata
(Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University)
Description
量子情報科学のここ数十年の目覚ましい発展により、量子力学が情報科学と極めて相性がよいことが判明してきた。実際、これまで実現が困難とされてきた情報処理タスクであっても、量子力学的な現象をうまく活用することで実現できる例が数多く見つかっている。では、なぜ量子力学は情報科学と相性がよいのだろうか。そして、量子情報科学の発展は、例えば量子コンピュータによる計算速度の向上といった実用的な価値を超えて、量子基礎論や量子物理学に対して、新たな科学的知見をもたらすことができるのだろうか。これらの問いに明確に答えることは現代の人類にとってはまだまだ荷が重く、今後の研究が解き明かしていくべき課題である。本チュートリアルでは、量子情報科学の基礎を概観した上で、「なぜ量子情報科学なのか」を(なんとなく)考えるきっかけを与え、本研究会での議論へとバトンをつなぎたい。
Primary author
Yoshifumi Nakata
(Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University)